2017 Fiscal Year Annual Research Report
Civil Society in the Late Ottoman Empire as Seen in Pension System
Project/Area Number |
25370840
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 香織 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10272121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オスマン帝国 / 近代 / 年金制度 / 社会保障 / 福祉 / 海運 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オスマン帝国末期の官営汽船会社の人事記録に関する文書を分析することにより、(1)イスラーム社会における社会保障のあり方としての年金制度の実態、(2)オスマン帝国末期の人々のくらし、人生を明らかにしようと試みるものである。この目的を達成するために、トルコ共和国首相府オスマン文書館所蔵のオスマン帝国期の公文書、トルコ海運公社資料室所蔵の「個人記録文書」等の史料群を取り上げ、それぞれについて詳細なデータ・ベースを構築し、分析する作業を行った。統計によって得られる数量的なデータと個々の事例、すなわちパーソナル・ヒストリーの両面から、オスマン帝国末期の社会の構造的な理解に結び付けていくことを目指した。 本年度は最終年度であるため、これまでに構築したデータベースにもとづいて史料の分析に重点を置くと共に、トルコのイスタンブルで現地調査を2回にわたり行った。1回目は2017年8月に実施し、オスマン文書館において、新たな史料を収集することができた。同時にトルコ海運公社資料室では、これまでに収集した史料の補完作業を行った。アタテュルク図書館、ISAM図書館ではオスマン語の新聞・雑誌の年金関係記事を収集すると共に、年金・福祉関係の研究や参考文献を取得した。2回目は2018年3月に実施し、オスマン文書館、トルコ海運資料室で史料の最終的な補完作業を行った。イスタンブル滞在中に、研究協力者のマルマラ大学ヌルシェン・ギュルボア助教、福祉関係を専門とする同大経済学部ムラト・コラルテュルク講師、ユルドゥズ工科大学ベシクチ准教授と研究交流の場を持った。研究成果を取りまとめて「オスマン帝国の年金制度と人々のくらし―官営汽船の事例から」と題する論文を作成し、『学術研究』誌に投稿して掲載された。
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