2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370844
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森安 孝夫 近畿大学, 国際人文科学研究所, 教授 (70157931)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シルクロード / トゥルファン / 敦煌 / 手紙 / ウイグル / トルコ語 / 中央アジア史 / 古文書 |
Research Abstract |
本研究の対象となる中央アジア出土の古代ウイグル語手紙文書は,10~14世紀の中央アジア東部で活躍した古代ウイグル人が残した生の史料である。その原物は,現在はベルリンのベルリン・ブランデンブルグ科学アカデミートゥルファン研究所,パリのフランス国立図書館,ロンドンの大英図書館,サンクトペテルスブルグのロシア科学アカデミー東方文献研究所,京都の龍谷大学大宮図書館,ウルムチの新疆維吾尓自治区博物館,トゥルファンの吐魯番博物院,敦煌の敦煌研究院などに分かれて所蔵されている。 歴史学者である私自身は,これらの手紙文書をシルクロード地域の歴史を復元するための史料として使うために,30年以上の長きに亘って原物調査とテキスト作成を積み重ね,ライフワークとして『古ウイグル手紙文書集成』を出版することを目指してきた。しかしながら,同時にこの集成は,ユーラシア各地に分散したトルコ系諸民族の言語を研究するトルコ言語学の専門家にとっても,比較の材料として貴重である。古代語の解読作業にはこれで完成ということはない。古代ウイグル語手紙文書全体に関していえば,我々の30年以上に及ぶ研究によって,ようやく90パーセント程度は解明できたと言える段階に達したが,100パーセントにはほど遠いのである。 まことに偶然ながら,世界最高の古代トルコ文献学者であるP. ツィーメ教授が約6年間,日本に滞在することになった僥倖を捉え,その協力を仰いで念願の『古ウイグル手紙文書集成』を完成させるのが,本科研の目的である。平成25年度は,夏休みを利用して東京在住のP. ツィーメ教授を京都に招き,約2週間,龍谷大学大宮図書館所蔵のトゥルファン出土ウイグル文書を入念に調査することができた。その結果,これまで私一人では解読できなかった単語を約10個,新たに解明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツィーメ教授と共に行なった昨年夏の二度に亘る合宿により,京都の龍谷大学大宮図書館所蔵の古代ウイグル手紙文書については,古文書学的情報についてもローマ字テキストについても,もはやこれ以上は望めないという程度まで調査・研究をやり終えた。もちろんそれで当該ウイグル文書のテキストに不明箇所がゼロになったわけではないが,95パーセント以上は確実なテキストが作成できたと思われる。 京都ではホテルで合宿したため,夜の時間も有効に使うことができたが,それだけでは足りないので,森安が東京に出張し,議論を重ねると共に,駒込にある財団法人・東洋文庫にも赴いた。それは東洋文庫に,来年度の調査予定であるサンクトペテルスブルグのロシア科学アカデミー東方文献研究所所蔵のウイグル文書のマイクロ写真が架蔵されているため,その予備調査をするためであった。但し,そちらは予想外に時間がかかって,まだやり残しがある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では,2年目である平成26年度は,夏休み期間中の25日間を利用してツィーメ教授と共にロシアのサンクトペテルスブルグとトルコのイスタンブルを訪問し,ロシア科学アカデミー東方文献研究所とイスタンブル大学所蔵のウイグル文書を調査することになっていたが,イスタンブルの方はある事情が生じて調査が不可能となった。それゆえ,もっとも多数の古代ウイグル語手紙文書を所蔵するベルリン・ブランデンブルグ科学アカデミートゥルファン研究所を再訪することにする。これまで私一人で集積してきたベルリンのウイグル手紙文書の全てについてツィーメ教授のチェックを仰ぎ,さらに二人でサンクトペテルスブルグのロシア科学アカデミー東方文献研究所に赴いて調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に調査を予定しているドイツのベルリンとロシアのサンクトペテルスブルグに,ツィーメ教授と二人で赴くための費用が,当初の2年目の予算では不足することが判明したので,初年度の予算のうち約24万円を残して,次年度に繰り越すこととした。 ドイツのベルリンとロシアのサンクトペテルスブルグに,ツィーメ教授と二人で赴くための費用が,当初の予算では不足することが判明したので,前年度の予算のうち約24万円を繰り越すこととした。夏期に二人でベルリンとサンクトペテルブルグに30日近く滞在するために,約160万円(一人80万円)が必要となると予想される。
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Research Products
(1 results)