2013 Fiscal Year Research-status Report
アルカイック期ギリシアのアゴーンと民主政:言語的、身体的示威表象の展開と政治化
Project/Area Number |
25370851
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 秀樹 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80236306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 咲子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00641101)
小林 日出至郎 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10195802)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 西洋史 / 西洋古典学 / ギリシア史 / 美術史 / 体育学 / アゴーン / 叙事詩 / 考古学 |
Research Abstract |
高橋秀樹は、政治的平面におけるアゴーン(競合行為)について、発話によるアゴーンが、政治的ないし司法的意思決定を推進していく実態が、いかに民主政成立に関わったか、また、それが古典期において「弁論術」として成熟を見る土壌がいかに形成されていったか、分析を進めた。ダブリン(アイルランド)の国立考古学博物館で調査を行い、今年度の研究成果は次の論文で示した。高橋秀樹,「ヘクトルとアイアスの一騎打ちをめぐって~『イリアス』第VII書に見る強制(強請)行為~」,『資料学研究』第11号,pp.35-55,2014.4. 小林日出至郎は、社会的に管理されいた、肉体的物理的なアゴーン、すなわち運動競技ないしスポーツが、どのような価値体系を形成していったか、また、体育学的、教育学的な観点から、社会的制度と理念の分析を進めた。今年度の研究成果は次の論文で示した。小林日出至郎,「『イリアス』における競争に関する研究 - 戦争と運動競技における英雄ディオメデスを中心として -」,『新潟大学教育学部研究紀要』第6巻第1号,pp.91-97,2013.10. 田中咲子は、競技者としての優秀さが、図像的表象として記録され、個人の社会的威信を高めていく現象、及びかかる威信を誇示しあうアゴーンの分析、美術史的な類型論的分析を進めた。アテネ、エレウシス、デルフォイ(ギリシア)で遺跡調査を行い、今年度の研究成果は次の口頭報告及び論文で示した。田中咲子,「ギリシア美術における年齢表現―アルカイックならびにクラシック時代の墓碑浮き彫りを中心に」,アルゴ会第32回研究会,2013年6月30日,早稲田大学。田中咲子,「鑑賞教育-美術史からのアプローチ」,『新潟大学美術教育研究会紀要 コンコルディア』32号,pp.22-31,2013.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、2件の海外調査を行った。但し、調査先と調査者は変更となった。より重要な資料調査の必要が生じたためである。計画では、高橋がルーブル博物館へ、小林がメトロポリタン博物館で調査するはずであったが、実施においては、高橋が国立考古学博物館(アイルランド)、田中がギリシアの遺跡3カ所で調査を行った。研究成果については、メンバーそれぞれが論文を1本ずつ発表することができた。以上により、本研究課題は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、アゴーンの展開とその「場」について研究活動の焦点を絞り、文献研究、史料収集分析を継続し、「場」の実地調査を行う。海外調査は2件行う。各々が、年度の研究内容をまとめ、論文・ノート等を公開する。次年度のシンポジウム開催に向けて準備を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、3年間継続することを当初から予定しており、平成26年度はその2年目にあたるため、研究経費が必要である。 文献研究、史料収集分析を継続し、アゴーンの「場」の実地調査を行うため、以下の様に使用する。ギリシア(アテネ、オリンピアなど)で立像・図像史料の「場」の実地調査を行うため、旅費を使用する(高橋、田中)。国内の他機関での文献調査・研究のため旅費を使用する(高橋、小林、田中)。各自の研究活動の当該年度の内容をまとめ、論文・ノート等を公開するため、書籍購入、文具等消耗品を購入する。
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