2015 Fiscal Year Research-status Report
ロシア系ディアスポラの社会的ネットワーク~女たちの満洲とその後~
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25370859
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 美智子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 名誉教授 (40304068)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ディアスポラ / ネットワーク / 満洲 / 日露関係 / 抑留 / 戦争 / 越境 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は日本、ロシアにおいて研究報告と資料調査・収集、聞き取り調査をおこなった。 日本では次の取り組みを行った。6月9日~10日、広島で満洲佳木斯の第一陸軍病院に勤務していた元日赤看護3人の聞き取り調査を行い、日本赤十字広島看護大学にある赤十字資料館と付属図書館で資料を閲覧・調査・複写した。6月15~17日、天理大学附属図書館で満洲におけるロシア東洋学関連の資料を調査・閲覧・撮影した。7月4~5日、佳木斯第一陸軍病院看護婦と衛生兵2人に聞き取り調査を行い、6~7日は防衛省防衛研究所戦史史料センターと日赤本社の赤十字情報プラザで資料を閲覧・調査した。8月2~6日、第9回国際中欧・東欧研究協議会で、パネル「女たちの満洲:亡命ロシア女性の場合」を主催し、「満洲女性:ビジュアルメディアに見る日本の自画像」と題して報告し、国内外の研究者とディスカッションを行い、知見を交換した。11月21日、ロシア・東欧学会の「歴史・文学・歴史」のセッションで満洲に関する報告のコメンテーターを務めた。 ロシアでは次の取り組みを行った。9月9日~10日、ウラジオストクのロシア科学アカデミー歴史・考古学・民族学極東支部で開催された第31回日露シンポジウムで「女たちのシベリア抑留」と題して報告、ロシア人研究者と知見を交換した。11日は満洲引揚ロシア人に聞き取り調査を行った。9月13~19日、ペテルブルグに滞在し、ロシア古籍文献研究所のアーカイヴ、ロシア科学アカデミー・ペテルブルグ支部、エルミタージュのアーカイヴ、ロシアナショナル図書館の手稿部で資料を閲覧・調査した。また、満洲引揚げロシア人に聞き取り調査をおこなった。9月20~26日、モスクワでロシア国立軍事アーカイヴ、国立ロシア連邦アーカイヴ、東洋学研究所、ロシア・ステイト図書館の在外ロシアセクションで資料を閲覧・調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本、ロシアで満洲から引き揚げた女性に聞き取り調査を実施、手記を集め、アーカイヴで文字資料を閲覧した。また、国内外の国際学会で成果を報告し、成果の一部を2016年3月発行の『セーヴェル』32号で公刊した。
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Strategy for Future Research Activity |
5月頃に、ソ連軍により満洲からシベリアへ抑留され、引き揚げてきた女性の聞き取り調査を行う。7月頃には、在満ロシアディアスポラ研究の世界的権威で、自身も亡命ロシア人であるオリガ・バキチ氏(元トロント大学教授)を招待して「女たちの満洲とその後」と題して、中央大学准教授・伊賀上菜穂氏との共催で共同シンポジウムを開催する。報告者は満洲で戦争を体験した日本人女性とロシア人女性の体験をまとめ総括し、2017年度度の「セーヴェル」33号に掲載する。 秋には国際学会で研究成果を発表し、10月にロシアでの調査と研究成果発表を計画している。その成果はロシアの雑誌に掲載するだけでなく、『セーヴェル』33号にも掲載する。
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Causes of Carryover |
平成28年度には、10月にスモレンスクの国際学会での報告と1月のハバロフスク調査、ならびに7月の日本における国際シンポジウムの開催を予定しているため、資金を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
7月に国際シンポジウム「女たちの満洲とその後」、10月にロシアのスモレンスクで開催される「女性史研究者国際連盟の第9回国際会議」に於ける「戦争と性:満洲で終戦を迎えた日本人看護婦の場合」と題した報告、1月にハバロフスクにおける抑留所調査を計画している。
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