2014 Fiscal Year Research-status Report
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25370865
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
原田 昌博 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60320032)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナチズム運動 / ワイマル共和国 / ベルリン / 酒場 / 政治的暴力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ワイマル期(1920年代~30年代初頭)ベルリンでの各政治勢力(ナチス、共産党、共和国擁護派など)による政治的街頭闘争が「酒場」を拠点として繰り返されていた点に着目して、ベルリンにおける「政治的酒場」の実態及び、この「酒場」を起点に展開された諸政治勢力の政治的暴力を一次史料に基づいて分析・検討し、ワイマル期ベルリンの「酒場」と政治の関係を社会史的な具体相で捉えていくことを目的とする。 2014(平成26)年度においては、前年度に引き続き、ドイツの公文書館や図書館に保存されている史料ならびに研究文献の調査・収集およびその分析を活動の柱とした。具体的には8月下旬から9月中旬にかけて渡独し、ベルリン州立文書館(Landesarchiv Berlin)およびプロイセン文化財団枢密文書館(Geheimes Staatsarchiv Preussischer Kulturbesitz)で当該時期のベルリン地方検察庁の裁判記録や警察報告ならびにプロイセン内務省の文書を閲覧した。この結果、とりわけ1920年代末から30年代初頭にかけてベルリンでは酒場を拠点とする各政治勢力の政治的暴力が頻発するようになり、警察など治安権力側も警戒を強めていくことを示す史料を入手することができた。また、ベルリン国立図書館(Staatsbibliothek zu Berlin)では日本では入手困難な文献の閲覧・収集を行った。 さらに、2014(平成26)年度は1920年代のベルリンにおける政治的暴力事件に関する学術論文を執筆・投稿した。その際、ベルリンで収集した史料を用いてより実証的に論じることで、当該時期の政治的暴力の様子を具体相で把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに渡独し、昨年に引き続いてベルリンでの史料調査を実施して、見込み通りの史料および文献を収集することができた。さらに、収集した史料の一部を用いて論文を発表し、研究対象時期のベルリンでの政治的暴力の状況を全体的に把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年間で収集した史料は当初の想定以上のボリュームがあるため、引き続き分析を継続する必要がある。さらに、本研究のもう一つの柱である「酒場と政治」の問題については収集した多数の研究文献を読み解き、研究対象であるワイマル共和国期よりも長いスパンで考察を行う必要がある。このため、2015(平成27)年度においては収集した史料の分析と並行して、近代以降のドイツにおける「酒場と政治」の問題にも取り組みたいと考えている。
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Research Products
(1 results)