2016 Fiscal Year Annual Research Report
Religious politics and music in seventeenth-century England
Project/Area Number |
25370871
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
那須 敬 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (40338281)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋史 / 文化史 / 音楽史 / イギリス史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、主に研究成果のまとめと執筆に集中した。研究課題成果全体の概要を論文「革命期イングランドのオルガン破壊」を発表した。すなわち、1640年代イングランドにおける長期議会主導のオルガン破壊と典礼音楽改革を、テューダー朝にはじまる宗教改革という長期的コンテクスト、初期ステュアート期におけるR.フッカーからW.ロードに至る儀式尊重主義という中期的コンテクスト、そして1620年代後半のダラム大聖堂におけるピーター・スマート事件という直近のコンテクストから、内戦期の議会派宗教政策を検討した。同時に、音声や感覚の文化史研究における今後の可能性についても論じた。論文と平行して、研究成果を網羅し、17世紀の革命論に接続する単著の執筆(継続中)を行った。一方、研究の過程で得られた近世の感覚理論についての知見を応用して、共著『痛みと感情のイギリス史』の執筆を行い、年度内に出版した。ここでは主に、情念と感覚機能について論じ、宗教と身体の関わりについて新たな理解の枠組みを提示した。また、年度中にイギリスおよびアイルランドで史料調査を行った。特に、1620-30年代すなわちチャールズ1世親政期におけるアイルランド国教会における教会改革および教会音学政策に関する史料を集め、同時代のイングランドでの動向と比較した。これらの新しい研究成果の整理と発表は年度中に行うことができなかったので、執筆中の単著を含め、今後の継続課題とする。
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