2014 Fiscal Year Research-status Report
18世紀後半のポーランドにおける公共論の形成に関する研究
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25370874
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
白木 太一 大正大学, 文学部, 教授 (50459252)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 近世史 / ポーランド / 西洋史 / 憲法史 / 音楽文化 / 公共性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、同年10月11日から12月23日まで、大正大学のサバティカルを利用して本研究のテーマに関して、ワルシャワ大学歴史研究所のゾフィア・ジェリンスカ教授のゼミナールに出席するとともに、ポーランドに研究視察・史料収集で滞在することができた。 ワルシャワ大学付属図書館やワルシャワの歴史書店において、本研究、とりわけ1791年5月3日憲法や国王スタニスワフ・アウグスト、そして地方議会関係の資料収集を行うことができた。 また滞在中、ワルシャワ、クラクフ、チェンストホヴァ、プワーヴィ、ニェボルフ、ルブリン、ザモシチ、グダンスクなどを中心に近世の様々な公共施設、王宮、大貴族宮廷などの歴史博物館を訪問して当該資料を収集することができた。 さらに9月には京都大学地域研究統合センターにおいて「国民主義音楽の比較研究と地域情報学」というワークショップの中で「18世紀末から19世紀初めのワルシャワの作曲家と音楽会活動」という研究報告を行った。この報告の中で、近世末から近代初めにおけるワルシャワの音楽文化の中での公共性に関する考察にも触れた。この報告はその後論集『国民音楽の比較研究に向けて-音楽から地域を解く試み-』(福田宏、池田あいの編著)の中で「18世紀半ばから19世紀初めのワルシャワの作曲家と音楽会活動-近代ポーランド市民音楽形成に関する基礎的考察」として2015年3月に同センターから刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたサバティカルを利用した研究休暇における史料収集、関連書店からの書籍購入を行うことができた。国王スタニスワフ・アウグストの回想録、国王をテーマとする論集、18世紀ポーランドのグランドツアーに関する著書、1791年5月3日憲法の記憶に関する論文集などを新たに入手した。また、18世紀末から19世紀初めにかけてのワルシャワ社会の公共性を音楽文化の視点から考察することができた。さらに、本年6月末脱稿を目途に1791年5月3日憲法の記憶に関する論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は8月末から9月にかけて再度ワルシャワに滞在し、過去2年間で収集することのできなかった本テーマに関する資料収集を行う。 さらに、18世紀ポーランドの公共論に関する最新の研究史と研究方法の習得を一層深めていく。本年度もワルシャワを中心とする図書館・文書館で18世紀の資料収集に積極的に取り組むとともに、ポーランドの書店、古書店、図書館を中心として、研究論文、研究所の収集を引き続き行う。さらに研究成果の公表にも努める。
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Causes of Carryover |
平成26年10月から12月のポーランド滞在時の研究出張旅費の総額が当初見込んでいた額よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記旅費に関しては、今年度の計画の中で適切に配分して使用する。
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