2015 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀後半のポーランドにおける公共論の形成に関する研究
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25370874
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
白木 太一 大正大学, 文学部, 教授 (50459252)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 1791年5月3日憲法 / ポーランド / 近世 / 西洋史 / 中央と地方 / 公共性 / 憲法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は昨年度に引き続き、ワルシャワ大学付属図書館、ならびに歴史書店やボレスワフ・プルス書店、レクシコン書店などで1791年5月3日憲法やスタニスワフ・アウグストや地方議会に関する文献や史料を収集した。3年間のポーランドでの史料収集はおおむね順調に達成された。 本来、本研究では、18世紀後半のポーランド・リトアニア共和国における、公共論の形成・伝達過程を宮廷、議会、地方議会、教育活動など多角的に分析することを目的とした。その際、具体的なテーマとして以下の4点を挙げた。1:18世紀後半のワルシャワ王宮の宮廷文化の中の公共論、2:地方議会における公共論が果たした役割、3:中央政治(全国議会)における公共論形成のメカニズム、4:国民教育を通じた公共論の地方への伝達(伝播)過程である。このうち、2と3に関しては、過去二年間の成果に加えて、昨年度は論文「ポーランドの1791年5月3日憲法とその立憲主義的伝統」『新しい歴史学のために』を執筆、公表した。また、初年度に刊行した『一七九一年五月三日憲法(仮題)』の増補改訂版を執筆し、6月には群像社から刊行される予定である。 1に関してはザモイスキ著の『ポーランド最後の国王』の翻訳を進めている。ポーランド語に基づいた全文の下訳は済んでいるが、英語版との内容の相違の大きさ、内容に関する補足の必要性などが新たに生じている。これらの問題を今後検討しつつ、刊行に向けて努力していきたい。4に関しては国民教育委員会の研究史の把握は済んでいるが、史料の整理がまだ十分には進んでいない。今後研究史の位置づけを具体的史料によって確認する作業を進めていく。 今後、上記の成果を基盤にして、近世ポーランド・リトアニア共和国の普遍性と特殊性をより鮮明に浮き彫りにしていきたい。
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