2013 Fiscal Year Research-status Report
西方地中海におけるフェニキアとカルタゴ-宗教的側面からの分析を中心に
Project/Area Number |
25370875
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 育子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (80459940)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フェニキア / カルタゴ / サルディニア / イビサ / 西方のフェニキア人 / 文化的共存 / 文化的連続 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フェニキア人の西方への海外発展の諸段階を特に宗教的側面から検証することにより、のちに西地中海世界の覇者となった植民都市カルタゴおよびカルタゴの影響下に置かれた諸都市と母市フェニキア都市の関係を考察することにある。特に西方において、フェニキア人が入植した諸都市のフェニキア的段階とカルタゴ的段階の明確な区分はどこにあるのかということが、目下の関心テーマである。まずは、一般に曖昧に使用されている「フェニキア人」という言葉の使用法を、改めて時代および地域別に4つに分類し検討することから始めた。その成果は、2013年7月の第20回ヘレニズム~イスラーム研究会で口頭発表をし、2013年10月にサルディニアで行われた第8回フェニキア・カルタゴ国際学会での発表でさらに進展させた。あわせて2013年10月末から11月初めと2014年3月に、西方におけるフェニキア人の入植拠点となったサルディニア島、およびスペインのアンダルシア地方とイビサ島でそれぞれ現地踏査を行い、フェニキア・カルタゴ関連遺跡の状況確認や博物館での史料収集を行うことができた。特にイビサ島では、現地研究者との情報交換により、西方におけるフェニキア的段階とカルタゴ的段階の区分を、墓制や葬送儀礼の側面から改めて確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外での学会発表および研究者との交流も含め、日本国内にいては情報不足であったフェニキア・カルタゴ研究の現状を把握することができた。史料の収集や最新の情報入手と言う点からも、特に現地で発掘に携わる研究者との連携を今後も続けて行く基盤作りが出来たと考えられる。また、実際に現地の遺跡を踏査することにより、地形や地勢などの地理的環境や遺物・遺構から古代史にアプローチし再構成していく重要性も実感できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は平成25年度のサルディニア・スペインに引き続き、マルタ島とキプロス島での海外踏査を予定している。特に東地中海に位置するキプロス島での踏査は、西地中海のフェニキア人の海外発展の状況と比較対照できるまたとない機会と考える。あわせて海外で収集した史料(遺物・碑文等)のデータベース化を本格的に行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、秋(2013年10月~11月、於イタリア、サルディニア島)と春(2014年3月、於スペイン、アンダルシア地方およびイビサ島)に計2回の海外調査(秋のサルディニア島では学会参加・発表を含む)を行ったが、その折の経費に若干であるが残金が生じた。 次年度には、マルタ島、キプロス島での海外踏査を予定している。次年度の費用配分は今年度の半分になるので、経費の不足分に今年度の残額分を充当したい。
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