2015 Fiscal Year Annual Research Report
西方地中海におけるフェニキアとカルタゴ-宗教的側面からの分析を中心に
Project/Area Number |
25370875
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 育子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (80459940)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化的連続 / 文化的相違 / 文化的存続 / フェニキア / カルタゴ / 聖域 / 幼児犠牲 / 女神崇拝 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は海外調査は行わず、3月のマルタ・キプロス調査をもとに国内での学会発表および海外での学会参加に専心した。前者においては在地の地母神(女神)崇拝と聖域の関連に着目して発表し、後者の成果は、2016年3月のアコリス考古学プロジェクト2016において、カルタゴの幼児犠牲に関する最近の学会動向として報告した。 本科研採択中に、2013年にサルディニア島、2014年にスペイン・アンダルシア地方およびイビサ島、そして2015年にマルタ島およびキプロス島など、毎年フェニキア・カルタゴ関連遺跡の現地調査を行い、併せて博物館での資料・情報収集を行うことができた。これらの成果については、毎夏ヘレニズム~イスラーム考古学研究会で報告し、12月末に刊行される論文集に収載されている。さらに、日本オリエント学会年次大会でも2回にわたって発表し、2013年秋には海外での第10回日韓中西洋古代史シンポジウムや第8回フェニキア・カルタゴ国際学会で研究発表を行い、昨年と一昨年秋にはアメリカ・オリエント学会の年次大会に参加し、フェニキア・カルタゴ研究の最新の学会動向に触れることができた。 本研究の目的は、フェニキア人の海外発展の諸段階を特に宗教的側面から検証することにより、のちに西地中海の覇者となったカルタゴおよびカルタゴの影響下に置かれた諸都市と母市であるフェニキア都市の関係を考察することにあるが、当該研究において、墓制や葬送儀礼の側面から「フェニキア的段階」と「カルタゴ的段階」を区分して考えることの意義と重要性を確認できた。一方で今後、より広汎に物質文化の側面から、地中海におけるフェニキア・カルタゴ文化の発展と変容を考察する必要性も痛感した。 なお、2013年9月には「フェニキア・カルタゴ研究会」を設立し、これまで2回にわたって公開報告会を開催し、2016年3月にはホームページも開設した。
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Remarks |
フェニキア・カルタゴ研究会は、2013年9月に発足した任意団体である。当会は、フェニキア・カルタゴ史に関する調査・研究を支援し協力するとともに、日本におけるフェニキア・カルタゴ史の発展・普及に寄与することを目的に活動している。
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Research Products
(9 results)