2015 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジアの後期旧石器時代における剥離技術の変容に関する研究
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25370883
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高倉 純 北海道大学, 埋蔵文化財調査センター, 助教 (30344534)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 剥離技術 / 動作連鎖 / 押圧剥離法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北東アジアの後期旧石器時代における剥離技術の変容の画期を明らかにするために、有機質剥離具による直接打撃法ならびに押圧剥離法を適用した石刃・細石刃剥離技術が、いつ頃、どのような過程を経て出現したのかを把握することにある。剥離具および剥離法の変化が地域間でいつ頃生じたのかを特定すること、そしてその相互関係を明らかにすることを主要な課題にすえた。 今年度は、中国で細石刃石器群とその出現以前の段階にかかわる関連資料の調査をおこなった。資料調査を実施したのは、北京古脊椎動物与古人類研究所、河北師範大学、河南省文物考古史研究所であり、そこで発掘資料の精査をおこなった。中国北部地方では、細石刃石器群の出現に伴い、細粒質の石材を利用するという傾向および押圧剥離法を含めた新しい剥離法と剥離具が採用されるという製作技術の傾向に劇的な変化が生じていることを確認した。この変化が、遺跡で得られている年代測定値にもとづくと、年代的にはLGM直前の段階にまでさかのぼる可能性があることを把握した。 ロシアのシベリアでは後期旧石器時代初頭の段階から細石刃(小石刃)が存在する可能性が示されているが、中国北部地方ではそれらとは技術体系として異なる細石刃剥離技術が出現期から存在していることを確認した。 本年度は、研究成果公表のため、国際学会で2回(イギリス・ロンドン、日本・名古屋)、国内の学会で3回の口頭発表をおこなっている。また本研究に関連する論文を1本発表している。
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Research Products
(6 results)