2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370892
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
宮下 佐江子 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 共同研究員 (80132760)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パルミラ / 饗宴図 / 彫像 / 地中海世界 / セム系の伝統 |
Research Abstract |
本研究はこれまでパルミラ美術の重要な要素であるという認識は成されていたが、その描出された容器、装身具などの個々の表現についての分析が成されていないことに着目して、特に饗宴図像の分析をおこなって当時の社会状況を再構築しようとするものである。従って、初年度はこれまで調査されていないパルミラ彫刻のデータを収集し比較検討することを目的とした。まず、トルコ国立イスタンブール考古学博物館所蔵パルミラ彫刻資料の調査をおこない、写真データを取得した。個人肖像の他に、饗宴図像の一部も所蔵していることを確認できた。また、同時期の地中海沿岸地域の石棺を実見し、パルミラの石棺との比較検討をおこなった。さらに、デンマーク、コペンハーゲンでおこなわれた国際パルミラ肖像研究会に出席し、現在のパルミラの墓内彫刻についての研究の進展状況を把握し、各国の研究者と意見交換をおこなった。今後の研究において、情報交換ネットワークを構築した。ナポリ考古学博物館においては同時代の地中海域の容器、装身具の実物例のデータを収集した。 国内のパルミラ彫刻データの収集に務めた。特に京都山崎のアサヒビール山崎山荘所蔵の饗宴図像は、世界的に見てもシリア国内以外で唯一の大型饗宴彫像であるので、今後さらに精査することを確認した。また、個人収集家、東京ブリヂストン美術館のパルミラ彫像についてはこれまで、詳しい調査がおこなわれていないが、本年度は所在の確認にとどまったので、今後、これらを精査することを課題とする。 これらの調査に基づいて、ヘレニズム~イスラーム研究会で発表をおこない、「パルミラ饗宴図像の容器II 浅型杯について」をまとめた。また、平山郁夫シルクロード博物館「シルクロードの饗宴」展でパルミラの饗宴について寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度には海外の彫像のデータを収集し、又周辺遺物との比較研究をすすめることができた。国内外の研究者と情報交換をおこなって、今後の研究に大いに役立つ知見を得ることができた。しかし、レバノン、ベイルートアメリカン大学資料の現地調査ができなかった。国内遺物については所在の確認にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあったって、国内のパルミラ彫像についての精査をすすめる。ローマ国立博物館所蔵品の調査をおこなう。ベイルートの資料については引き続き、調査加納であるか問い合わせをおこなう。また、地中海世界とローマ属洲のシリアにおける文化受容の諸相について、様々な遺物の比較検討を通して当時のパルミラの社会、あるいは饗宴図像と個人肖像の関係性について研究をおこなう。
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Research Products
(7 results)