2015 Fiscal Year Research-status Report
デカン高原・巨石文化期に現れる高錫青銅器製作技術の源流の探索
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25370904
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部・調査課, 主任研究員 (90250381)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高錫青銅 / 銅鋺 / 馬具 / インド / 南アジア / 東南アジア / タイ / 銅鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
高錫青銅器製作技術に関係するデカン高原巨石文化の青銅器に関しては、前年度までに主要な高錫青銅器に関して実測図作成と写真撮影を行って資料化を終了している。これまでの資料調査に加えて、金石併用期のネヴァサ遺跡、巨石文化期のナイクンド遺跡、ライプル遺跡のものを検討した。調査にあたっては、遺物を資料化するために、重要な遺物と判断したものについて、写真撮影と実測図作成を行った。あわせてナグプール大学所蔵の巨石文化期の金属器資料を調査した。また、マハーラーシュトラ州考古局の資料に関しても便宜を受けた。いずれもカウンターパートの合意で順調に調査を完了することができた。両機関でおこなった作業もデカンカッレジで行った作業とほぼ同様である。 資料調査に加えてナグプール周辺の巨石墓を踏査し、巨石墓の配置や構造に関して重要な知見を得ることができた。踏査した遺跡はマフルジャリ遺跡、ライプル遺跡、ヒラプール遺跡等である。この他、巨石文化期の最新情報をインドの各機関で収集するとともに考古文献を各種購入した。現地調査を前後して、共同研究者及びゲストスピーカーを含めて、小規模な研究会を橿原考古学研究所にて計2回開催した。研究会の席上では、巨石墓と馬具の関係、巨石墓と初期鉄器との関係、巨石墓と土器の関係について新知見を得て、今後の研究計画に重要な示唆を得た。インドの高錫青銅鋺との関連が指摘されている東南アジアの現代金属鋺について、その製作方法と科学分析を行った。 今年度はデカン高原北部のナグプール周辺にて一部の巨石墓群に対して写真測量をおこなって3D化をおこなった。期間が短かったために大規模な測量はできなかったが、デカン高原巨石墓を理解する上で重要な基準資料を作成することができた。鉛同位体比による産地推定(約180点)も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までは計画以上に進展していたが、下半期になって長期出張が生じたため、全般的に研究が進まなくなった。ただし、出張先でもインターネット等を通じて共同研究者等と連絡を取り、研究計画に地帯が生じないように努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
デカン高原巨石文化の金属器に特徴的な器種を中心に近隣諸地域の機種構成と比較検討し、高錫青銅器製作技術の源流を明らかにする手がかりとする。また、南アジア及び東南アジアで採取した資料の鉛同位体比法による分析結果と器種の型式差により、金属器の産地推定を行っていく。
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Causes of Carryover |
当該年度下半期に約3ヶ月半の海外出張が生じたため、下半期の計画の遂行が難しかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度当初から計画中の資料調査と研究補助員の雇用を進める。また最終年度報告の資料整理を予定通りに進める。
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