2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the formation of Stone resource area and Blade technique in Kyushu
Project/Area Number |
25370907
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Research Institution | Kyushu Historical Museum |
Principal Investigator |
杉原 敏之 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (20543680)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黒曜石原産地 / 石刃技法 / 剥片尖頭器 / 蛍光X線分析 / 石材消費 / 技術形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の成果】 本研究は、後期旧石器時代人類の資源獲得と技術形成という視点から、九州島北部の石材産地周辺における石刃技法の成立と展開について検討した。 黒曜石原産地周辺部における石刃技法を抽出して技術類型化すると共に、消費地における時期的整理を試みた。さらに長崎県埋蔵文化財センターが進める蛍光X線分析による西北九州の黒曜石原産地のデータを基に石器群の対比を行った。この検討から、特定石材の使用傾向が強いAT下位石器群に対して多様な石材使用を示すAT上位石器群の動態を示すことができた。特に各原産地から一定の距離のある雲仙北麓遺跡群では、石材ごとに素材や製品の数量的差異が層位的にも明瞭で時期的変化を読み取ることができる。ただし、それを特定集団の石材産地を取り込む領域行動のみで説明することは難しく、例えば集団同士の接触地域における複数集団が関与した石材入手や消費行為を示す可能性もある。 一方、サヌカイト原産地の大型石刃技法を技術基盤とする剥片尖頭器は、消費地に製作痕跡を残さず、原産地で集中的素材生産がみられ、当時の狩猟を主体とする集団行動に密接に関わるものと考えられる。 本研究では、石器技術と石材消費の視点から石材産地における石刃技法の時期的動態を示すことができた。ただし、石材産地間にそれぞれ展開する石刃技法の技術的関係を繋ぐための分析対象となる資料の制約が大きい。この点から、当初に掲げた石刃技法成立の解明に幾つか課題を残したが、石材産地周辺の石器群のデータ化を継続することで成立期の様相を示したい。なお、本研究の最終年度には、これまでの研究成果をまとめながら、西北九州の石刃技法に関わる必要なデータを得るために追加調査を行った。そして、研究協力者と共に検討課題について意見交換を行いながら研究報告書を作成した。
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