2015 Fiscal Year Annual Research Report
経済不況期における東北地方山村の変貌に関する追跡調査と地域間比較研究
Project/Area Number |
25370912
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
安食 和宏 三重大学, 人文学部, 教授 (00231910)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済不況期 / 東北地方 / 山村 / 就業構造 / 高齢化 / 村落社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、最近20数年間の経済不況期において、東北地方の山村地域がどのような変貌を遂げたのかを、現地での具体的な調査によって明らかにすることである。ここでは特に、住民の就業構造と世帯の構成(および構成員の結びつき)の変化に注目する。対象地域は、かつて筆者が現地調査を行って当時の資料を保有している①岩手県岩泉町、②秋田県上小阿仁村、③福島県伊南村(現・南会津町)である。 最終年度となる平成27年度は、まず9月~10月に福島県南会津町を訪問した。筆者にとっては24年ぶりの訪問である。現地では、町役場や森林管理署等で資料の収集と聞き取りを行った。また、町立図書館で文献を調査した。その結果、かつての産業構造は大きく変容し、全体的に世帯の縮小と高齢化が確実に進んできたことが把握できた。一方で、いわゆる「田舎暮らし」ブーム等の外部からの影響が強く作用するようになった。 次に、12月に秋田県秋田市を訪問した。筆者はすでに平成25年と26年に上小阿仁村において、各種の資料の収集と聞き取りを行ってきた。それによって、国有林依存型の山村経済の変化等について理解することができた。今回は秋田市に滞在し、県立図書館・市立図書館・県庁を訪問し、産業構造の変化を具体的に示す統計資料を入手することができた。および関連文献を調べることができた。平成27年度の主な研究実績は、この2つの現地調査である。 本研究では、3年間にわたって現地調査を重ねることにより、上記の対象地域における就業構造と世帯構成の変化を具体的に把握することができた(ただし、福島県伊南村の調査では、詳細な聞き取りまで進むことができなかった)。これが本研究の成果である。ミクロなデータを積み重ねる地道な調査研究が極めて少なくなっている現状において、こうした具体的データにより山村の変貌を論じる研究を示し得たことに、本研究の意義があると考える。
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Research Products
(2 results)