2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the Classification of Suburban Residential Districts due to the Depopulating Society in Japan
Project/Area Number |
25370920
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
佐藤 英人 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (00396798)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東京大都市圏 / 郊外 / 競売不動産 / 中古集合住宅 / 最寄駅徒歩圏居住 / 住居移動 / 住宅取得 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は人口減少や格差より生じる郊外住宅地の選別化を、裁判所の公告に基づく競売物件と中古集合住宅の取得行動から分析することである。本年度は特に中古集合住宅を取得した世帯に着目し、彼らの居住地移動から住宅地の選別・淘汰を分析した。 本研究の分析対象は、リクルート住まいカンパニーの質問紙調査(調査期間:1998年1月~2011年12月)に回答した87,583世帯(新築取得世帯:78,862人,中古取得世帯:8,721人)である。この質問紙調査を基に、取得世帯の住居分布(前住地および現住地)とそれぞれの最寄駅を特定し、それらの最短距離を計測した。 その結果、比較的安価な中古集合住宅といえども、売買契約が成立する物件は立地によって厳格に選別される。住居移動の発着地を新築取得世帯と中古取得世帯に大別してOD表に整理すると、いずれも同一都県内の移動率が高く、取得世帯の多くが同一都県内に滞留していることがわかる。かつて住宅取得のために多くの世帯が郊外へ移動した「人口の郊外化」はすでに終息したといえる。 中古取得世帯が前住地から至近の、既知の生活圏内で住宅を選択している点は、最寄駅までの距離変化をみると明白である。最寄駅徒歩圏率をそれぞれ比較した結果、神奈川県、千葉県、埼玉県内に滞留したケースでは、現住地の徒歩圏率が上昇している。中でも徒歩圏率の上昇が顕著なのは、前住地が戸建持家住宅であり、買主年齢が60歳以上の世帯である。高齢世帯の一部は中古住宅の取得を契機に、自家用車やバスでなければアクセスできない最寄駅非徒歩圏の戸建住宅を処分し、最寄駅近傍の中古集合住宅へ住み替える傾向が読み取れる。つまり、交通利便性の低い地区では、新築と中古の別を問わず、かなり早い段階に住み手を失い、空き家やマンションの空室が増加する。
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