2013 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮における古代道路の歴史地理学的復原に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25370930
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
轟 博志 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (80435172)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 九州五小京 / 日韓比較 / 溟州 / 歴史地理学 / 古代道路 / 地籍資料 / 方格地割 |
Research Abstract |
本年度においては、研究実施計画に沿って、主に研究に必要な資料収集と、その分析を通じた二次年度以降の事例調査地の選定を行った。資料収集は韓国国会図書館、国立中央図書館、ソウル大学校等で先行研究の収集を行い、また主に九州五小京に相当する都市で郷土史及び考古学的発掘調査資料の収集を行った。具体的には朔州、溟州、完州、熊州、金官京、西原京、南原京、北原京、中原京、下州、武州、漢州であり、残りの上州、良州、康州、慶州へは時間の関係上訪問できなかった。これらは二次年度初期において訪問する予定である。また国家記録院において、地籍資料の収集も行った。 収集した資料の分析を通じて、新羅九州五小京のほとんどにおいて、共通した都市の内部構造と城郭構造、また立地変遷の特性を持つことがわかってきた。それらの特徴が最もよく現れ、また立脚すべき先行研究が豊富な都市として4か所を選定した。二次年度においてはそれらの具体的な事例研究を、現地調査を交えて行う予定である。さらに本年度は九州五小京という「点」の研究を中心にしたが、来年度からは本来の研究目的である「線」つまり道路についての研究にも着手する。 また、本研究のもう一つの大きな柱である日本の古代道路との比較研究についても前進を見た。日韓の専門家二名を招聘し、九州内の古代都市(西都原を中心に)を巡検し、新羅の都市との比較考察と討論を行った。こちらも上記と同様、来年度は「点」ではなく「線」について同様の比較検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りと考えるが、時間の関係上九州五小京のうち、4か所の訪問ができなかった。これは来年度の早期に訪問を終える予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の追加訪問以外は、おおむね申請書の通りに進めることとする。ただし、一次年度の調査を通じて、古道研究と関連して、地方都市の独立した基礎研究の必要性が台頭している。これに関しては次期の科研で取り組むか、または別途の研究プランを樹立するか、次年度のうちに熟考せねばならない。さらに、調査のために各地の文化財行政当局と研究機関との連携が不可欠である実態が浮かび上がった。このネットワークを構築することも、次年度で考慮せねばならない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
二月に行った出張旅費が為替変動等により25年度の予算額を若干上回ったため、事務局より日本学術振興会に照会を行い、会計処理上26年度当初に執行を行うことにした。 上記の事由により、本来25年度2月に精算予定であった出張旅費の精算に全額充当する。
|