2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370935
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田森 雅一 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (10592454)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南アジア / インド音楽 / 文化変容 / グローバリゼージョン / 定量的研究 / データベース / 文化人類学 / 民族音楽学 |
Research Abstract |
本研究は、戦後におけるインドの伝統音楽とその社会的世界の変化を定量的なアプローチによって把握することを目的としている。伝統音楽の社会的世界についてはフィールドワークに基づくミクロな視点からの定性的アプローチによる研究が蓄積されてきた。本研究は、そのような経験世界の動向をマクロな視点からのデータ提供と定量的分析によって探求し、インド音楽そのものと音楽家・聴衆・パトロンによって構成される社会関係の両面が変容している点を実証的に示すことを目指している。より具体的には、インドの各地域の大学・研究機関・放送局などに蓄積された各種資料の発掘とそれらデータの検討を行い、2次分析の基盤となる資料整備(データベース化)に貢献すること、また、インド音楽とその社会的世界の変化を定量的に検討することにある。 本研究では、全年度を通じて以下のような基礎作業を行う。1)音楽家のデータベース化を見据えた重点項目の選定とフォーマット・デザインの作成、およびデータ入力作業、2)インド各地域の研究教育機関・放送局等における各種資料の発掘のための事前調査、3)各種資料の作成に携わった現地関係者とのネットワーク形成(以上、国内作業)、4)インド現地における資料の発掘および関係者へのインタビュー(現地作業)、5)発掘した資料の吟味とデータベース化に向けての検討(国内作業)。 初年度は、上記項目1)の達成のため、インド政府の音楽・芸能等の研究教育機関であるサンギート・ナータク・アカデミーから出版された『インド音楽家名鑑Who’s Who of Indian Musicians 』(『音楽家名鑑』)の初版(1968年発行)および改訂第2版(1984年発行)所収のそれぞれ千数百人の諸属性についてデータベース・ソフトへの入力作業を行い、北インドと南インドの専門家が分担して音楽家とその師匠の宗教・性別について判定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究代表者、連携研究者2名、国内研究協力者2名のメンバー5名(以後、メンバーと表記)による研究会(3回)を開催した。研究会では『音楽家名鑑』に掲載された音楽家情報についてのデータベース化(ファイルメーカーを使用)のためのフォーマット・デザインについて検討を行った。決定されたフォーマットと重点項目に従い、初版と改訂2版に掲載された音楽家約3000名のデータ、すなわち名前・年齢・音楽ジャンル・流派・師匠名・学位・レコーディング/海外演奏経験・所属機関等の入力作業を終了することができた。その後、北インドと南インドの専門家が分担して、音楽家の名前から、宗教と性別を判定する作業を行った。このように、研究実績の概要1)に相当する『音楽家名鑑』に所収された音楽家データの入力・判定作業までを終了することができたが、入力時点での誤植の修正と表記の統一、また性別等の判定が困難なケース(2~3%程度)の判定など、より正確なデータベースの完成にはインド人協力者を交えたさらなる検討が課題として残された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績概要の2)および3)4)の実行。すなわち、入力されたデータの校閲・校正・統一。初版と改訂2版データの比較検討。『音楽家名鑑』の重点項目とほぼ同様の項目を網羅する1990年代以降の資料の発掘。そのための海外調査が行われる予定である。より具体的には、北インドあるいは南インドをフィールドとする研メンバー5名が、インドにおける研究協力者などと連携しつつ、ニューデリー・ムンバイ・チェンナイ・コルカタ・ジャイプルなど主要都市の大学・研究機関・放送局などにおいて公開・未公開資料と関連情報の収集および、関与者へのインタビュー等の調査を行う。また、各メンバーがインド現地において収集した資料や情報について整理し、メンバーでの共有化とデータベース化に向けての検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、すべて手持ちの資料を活用し、文献購入を行わなかったため。 文献購入に使用予定。
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Research Products
(2 results)