2015 Fiscal Year Annual Research Report
イスラームの商品化に見る宗教実践と経済活動の相関に関する実証的研究
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25370946
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
多和田 裕司 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (00253625)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マレーシア / イスラーム / 文化人類学 / 商品化 / 消費社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、具体的な研究対象として都市形成や都市景観の意匠に焦点をあて、フィールドワークによる資料収集をもとに、イスラームと経済活動との相関について検討した。マレーシアでは近年、都市景観にイスラーム的な意匠が数多く取り入れられている。なかでも新たな行政首都として建設されたプトラジャヤ市は、政府主導のもとイスラーム的な都市であることが追求され、代表的な建築物の多くがイスラーム的意匠に彩られている。しかしそれと同時にプトラジャヤ市においても、現代の多くの都市で観察される「テーマ化」や景観の「シミュラークル化」、その結果としての「俗都市化」のプロセスなどを見いだすことができる。プトラジャヤ市の例が示しているのは、現代社会においてはイスラーム的都市景観ですら、経済発展や消費社会化というイスラームに外在する要因によって規定されるのであり、その意味で他の都市と共通のメカニズムの上にあることである。 3カ年の研究期間を通しての成果としては、観光、ファッション、都市景観というまったく異なる領域のそれぞれにおいて、観光振興による経済収入への期待、消費社会におけるファッション性の追求、世界の都市景観に共通するポストモダン的特徴といった、イスラームの理念や教義には還元できない経済的要因がイスラーム実践にたいして大きく影響していることがあきらかとなったことである。これは現代世界に特徴的なイスラームのありかたであり、これまでともすればイスラーム教義に集約されがちなイスラーム理解にたいして、新たな見方を示すことができたと思われる。なお研究成果については、各年度に設定した具体的テーマ(観光、ファッション、都市景観)について、イスラームと経済の相関という観点から、研究論文として発表した。
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Research Products
(1 results)