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2013 Fiscal Year Research-status Report

家族史から接近するサラワク・イバン社会におけるモダニティの形成

Research Project

Project/Area Number 25370948
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionThe Open University of Japan

Principal Investigator

内堀 基光  放送大学, 教養学部, 教授 (30126726)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywordsイバン人 / サラワク / マレーシア / 近代性 / 社会人類学 / 家族史
Research Abstract

平成25年度はマレーシアおよびブルネイ・ダルサラームでの現地調査を中心に研究課題の追究を進めた。25年度は4年計画研究の初年度にあたるが、マレーシアのサラワク州における最大多数民族集団であるイバン人の近代化過程を、家族史研究の手法により人類学的に解明するため、主としてサラワク州イバン人および隣接するブルネイ・ダルサラームへのイバン人移住者のあいだで家族史資料を収集した。また現地の研究協力者であるチャイ博士(サラワクマレーシア大学上級講師)とともに、現地華人とイバン人の社会交渉の実態を調査した。
初年度の現地調査は10月31日から11月20日までの出張期間中、11月1日から11月19日にかけて、サラワク州都のクチン市、地方都市のスリアマン市、ベトン市、サラトック町、およびそれらの近郊のイバン人集落で行なった。今回は、家族史の完全記録をとる段階の一歩手前である親族および友人関係を含む係累の広がりを探ることを中心に調査した。
これに関して、出張期間中の11月14日から18日にかけて、上記調査対象イバン人の一部係累の移住先であるブルネイ・ダルサラームに赴き、同国の村落地域の現状を観察した。また調査に先立って、11月1日より4日にかけては、上記チャイ博士の助言にも基づいて調査の具体的スケジュールを詰めるとともに、博士の勧めにもとづいて、イバン出身のサラワク州政府土地開発大臣であるジェームズ・マシン氏と連絡を取り、爾後の調査に関し数々の指針となる情報を得た。
この他、マレーシア社会に関する文献資料、人類学における家族史研究の文献を収集し、主として理論面での研究深化を進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

マレーシアのサラワク州とブルネイ・ダルサラーム国における現地調査期間および研究者と密接な協議ができ、この関係が恒常的に維持ないし復活されることが確認された。これによって初期調査の目的の一つである現地調査機関との関係、現地住民との関係など、人的な資源の活用が十分に担保できた。加えて、サラワク州政府の土地開発関係大臣との連絡が取れ、サラワクの各地における調査に一定の便宜あるいは保証が得られたことも重要な途中成果である。
具体的には、サラワク州のスリ・アマン省およびベトン省の現在の経済的社会的変容をつぶさに観察し、細部にわたる家族史研究の対象を絞り得たことに今年度の中心的意義がある。またブルネイ・ダルサラーム国におけるイバン系住民の市民権問題に関わるこの20年から30年間の変化を、現地住民のテスティモニーとして追えたことも、本研究課題の拡大的な文脈においてではあるが、重要な意味をもつ。
サラワクにおける民間のジュガ財団設立のイバン研究資料室等において、イバン人の習俗、民芸、口承文芸関連の仕事をするイバン人に、本研究計画の趣意を伝え、文献資料等に関しての協力を依頼することもでき、機関誌への寄稿を求められたことなど、今年度所期の目的を十分に果たした。
また社会人類学文献の収集を通じて、家族史と近代性の問題が現今の斯学のフロンティアの一部であることも確認されたことの意義も大きい。

Strategy for Future Research Activity

最終的な研究成果の発信に関しては、これまでに発表した論文等を踏まえた上で、本研究の成果を単著刊行物として出版することが究極の方法となるが、その過程で、申請者の既存のウェッブ上サイトに逐次進捗状況を発表しつつ、サラワクの社会状況一般についても情報を提供するという基本的な方策は変わらない。出版物は日本語によるもののほか、26年度を端緒として英語での論文、調査報告の刊行もめざすことになるが、これはサラワク現地期間との間ですでに話しが進みつつある。
安易な一般化、理論化を避けるという基本方策も不変であり、研究は現地調査を中心として進められる。
26年度は8月ないし9月を目途に4週間のサラワク現地調査を行う。スリアマン省エンキリリ町に近くルパール川の上流部を統括する郡の郡庁所在地であるルボックアントゥ(Lubok Antu)近郊、およびルパール川支流のスクラン川流域のイバン村落の人びとを対象に家族史収集を行う。加えて、旧第2省北部、すなわち現在のベトン省に属するサリバス、クリアン川流域のイバン人村落、および行政中心地であるベトン(Betong)とサラトック(Saratok)の両町にて同様の調査を行う。
サラトック近郊のイバン村落には、1975年当時申請者がサラワクではじめての住み込み調査を行った村落が含まれており、長い時間的視野での社会的経済的変容を追うことができる考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

一部予定していた人類学図書文献が時間的に間に合わず、次年度(予定)による購入となったことによる。
前年度に発注を予定していた図書文献の購入。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013 Other

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (4 results)

  • [Presentation] 「民族」とは何だろう」

    • Author(s)
      内堀基光
    • Organizer
      日本学術会議、自然人類学分科会公開シンポジウム『中等教育でまなぶ「人種」「民族」とヒトの多様性』
    • Place of Presentation
      日本学術会議
    • Invited
  • [Book] 『改訂新版 文化人類学』2014

    • Author(s)
      内堀基光、奥野克巳(編)
    • Total Pages
      227
    • Publisher
      放送大学教育振興会
  • [Book] 河合香吏編『制度:人類社会の進化史的基盤』2013

    • Author(s)
      内堀基光「死という制度―その初発をめぐって」
    • Total Pages
      420 (37-57)
    • Publisher
      京都大学学術出版会
  • [Book] 菅原和孝編『身体化の人類学:認知・記憶・言語・他者』2013

    • Author(s)
      内堀基光「心は身体的にしか語れない―心、命、魂は体のどこにあるか」
    • Total Pages
      464 (76-101)
    • Publisher
      世界思想社
  • [Book] Kawai Kaori (ed.) Groups, Groups: Evolution of Human Sociality2013

    • Author(s)
      Uchibori, Motomitsu, ‘Assembly of Solitary Beings: Between Solitude and 'Invisible' Groups’
    • Total Pages
      413 (43-57), (223-338)
    • Publisher
      Trans Pacific Press/ Kyoto University Press

URL: 

Published: 2015-05-28  

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