2014 Fiscal Year Research-status Report
トランスナショナルな社会運動と政治参加の人類学:オセアニア大国の移民を事例に
Project/Area Number |
25370959
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
丹羽 典生 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 准教授 (60510146)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 移民 / オセアニア / 政治参加 / 紛争 / サポート |
Outline of Annual Research Achievements |
オセアニア大国における移民社会の形成という歴史的軸からと、現在の状況からという二方向から対象に接近を行った。後者については、オーストラリア(メルボルン、キャンベラ、ブリスベン)、ニュージーランド(オークランド)にて、関係者や研究者との情報交換と現地調査を行った。また、フィジーの政治的混乱に際して、トンガとのネットワークが果たした役割が知られているが、その点についても、トンガにおいて若干の調査を行った。前者については、オーストラリアの公文書館、国会図書館、オーストラリア国立大学図書館、オークランド大学図書館及び書店にて、関係資料の収集・閲覧を行った。また、オセアニア大国における移民社会形成の文脈に関する歴史史料の収集のため、海外では収蔵されていないオセアニア大国への移民関係資料の収集閲覧を日本で行った。これまで収集した関連書籍、資料の整理を効率的に行うため、アルバイトを雇用した。 成果公開としては、編著の編集を行い、現在出版助成の内諾を得たので、来年度中に刊行の予定である。それ以外ではエッセイなど短い文章を複数刊行した。口頭発表は、本研究課題の進捗状況も2年目に入ったので、社会運動論、政治参画について人類学的な理論を念頭に置き、危機への対応という文脈にて、また、保守思想と文化的政治的サポートの表明という文脈というそれぞれのパネルにて、研究発表を行うことで、オセアニアからの事例に基づき、それを組み合わせつつ、より一般的な人類学的研究課題へと昇華することを試みた。あわせて成果報告を見据えた研究者との打ち合わせも適宜行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールド調査については特定の地域へとさらに絞り込みつつある。オーストラリアでは来年度から特定の都市により焦点を当てる予定である。成果公開としては、出版の草稿整理が終了し、来年度出版を予定している。調査成果に基づきつつ、先住民と移民の相互の影響、移民社会形成という文脈における先行組と後発組の移民相互の関係が、政治参加とそこにおける文化的表出のありようどような影響を与えるかなどが明確になりつつある。研究の方向性が一層明確となると同時に、研究の将来的な広がりにもつながりうるより一般的な議論を行う足がかりを得た。編著の他にも原稿を複数本寄稿している。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、オーストラリア、ニュージーランドといった大国を中心に、調査研究及び関係資料の収集を行う。当初面会予定であった研究者の一人が、オーストラリアからニュージーランドの大学へと移籍したので、それに合わせて海外渡航の予定先を変更する。それ以外では、フィジー移民のクーデタ後の移動を確認するため、フィジー本国への訪問を予定している。併せて、現地の研究協力者とフィジー語での資料収集のため打ち合わせを行う。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は、本年度オセアニア学会への参加費用として計上していたものである。申請者が体調不良であったため、直前でスケジュール変更をしたこと、学会が3月末の開催であったことなどから、年度内での使用が不可能となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加費、海外調査費の一部として使用予定である。
|
Research Products
(10 results)