2014 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア・オランダ裁判制度改革の比較:法の移植と経路依存的発展の実証的分析
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25380005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
島田 弦 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80410851)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アジア法 / インドネシア法 / 比較法 / オランダ / 法の移植 / 開発法学 / 司法制度改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)資料調査として、オランダおよびインドネシア、日本における植民地期の公文書調査、(2)成果報告として、Asia Law Institute研究総会で研究報告、(3)研究協力として、オランダおよびインドネシアの研究協力者との勉強会を予定していた。 (1)の資料調査について、2014年8月にインドネシア・ジャカルタにある国家公文書館、および2015年2月に京都大学東南アジア研究センターで行った。 (2)研究成果報告として、2014年6月29日~30日にマレーシア・マラヤ国立大学において行われたアジア法研究所(Asia Law Institute)研究総会について「The roots of bureaucratic judiciary in Indonesia: transfer and promotion of colonial judges in the Dutch East Indies(インドネシアにおける官僚的司法のルーツ:オランダ領東インドにおける植民地裁判官の異動および昇進)」を報告した。また、関連する研究報告として、2014年9月15日の名古屋大学法学研究科とロンドン大学東洋アフリカ研究所との合同シンポジウム(於:ロンドン大学東洋アフリカ研究所)において「Status of Islamic law in Indonesian State Legal System(インドネシア国家法制度におけるイスラム法の地位)」の研究報告を行った。 (3)研究協力者との交流については、2014年8月にエルランガ大学(インドネシア・スラバヤ市)において、オランダ・ライデン大学およびインドネシア・マタラム大学の研究協力者を含む、インドネシア法専門家とのワークショップを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度については、オランダ・ライデン大学における資料調査を除き、予定していた資料調査を実施した。インドネシア国立公文書館は、通常の外国人によるアクセスが困難であるが、オランダ・ライデン大学所属の共同研究者からの支援を受け、多くの資料を入手することができた。 また、研究成果報告についても、予定していた国際学会について実施した。この学会での報告は現在、出版に向けて論文として執筆中である。ロンドン大学におけるワークショップでの報告は、オランダ植民地における法政策として、本研究課題と密接に関連するものである。これについても、現在は研究論文として出版・発表するために執筆を行っている。 共同研究については、当初、オランダ・ライデン大学での研究会を予定していたが、共同研究者がインドネシア訪問を予定していたために、ほかのインドネシア法研究者を交えた研究会とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究調査:引き続きオランダ、インドネシアおよび日本での資料調査を行い、特に植民地から戦中、独立初期における司法政策の状況を明らかにしていく。また、現在のインドネシア司法行政と比較するために、インドネシア・ジャワ島およびロンボク島における裁判所での聞き取り調査を行う。この調査については、2014年に行った研究会においてインドネシアのエルランガ大学およびマタラム大学の研究者と事前に打ち合わせており、8月後半から9月にかけて実施する予定である。 研究成果報告については、以下の学会における報告する(報告採択済み)。Asian Law Institute年次総会(5月台北)、日本アジア法学会(6月国際基督教大学)、ヨーロッパ東南アジア学会(8月オーストリア)。また、スイス・フリブール大学とフランス・ナント大学が主催する比較法に関するシンポジウム(Comparing Comparative Law)でも研究報告を行う(10月スイス)。
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Causes of Carryover |
オランダでの資料調査を延期し、それを同時に予定していた共同研究者との打ち合わせをインドネシアで行うことにしたために生じた差額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年8月にオランダで行う調査(オーストリアでの研究報告と併せて出張する)に使用する予定である。
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