2015 Fiscal Year Annual Research Report
弁護士業務の活性化と法律事務員の養成システムに関する研究
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25380007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仁木 恒夫 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80284470)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 法律事務職員 / 法的知識 / 協働 / 養成システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、本研究成果の取りまとめを行ってきた。 まず、平成26年度末に実施した調査票調査の結果をSPSSデータ化し分析を行った。定量データの概括的な検討からは、司法制度改革の弁護士人口増加以降、いくつかの点で法律事務職員の就労環境が大きく変化したことが推測される結果が見てとれる。すなわち、弁護士数が3~5人規模の法律事務所に所属する者が多いこと、また経験年数3年目に大きな減少が生じているがそれ以降は比較的安定していることなどである。そして業務内容として訴状の起案等の法的知識を一定必要とする業務に携わっている事務職員が約30%見られたのである。そこから、組織環境の下で比較的安定的に、一定の法的知識を実践する法律事務職員像が浮かび上がる。こうした内容の一部は、2015年10月16日に岡山で開催された日弁連業革シンポジウムの分科会「弁護士業務拡大に資する事務職員の養成と確保」において発表報告した。本研究では、この定量データの知見に厚い解釈を加えるため、聴取調査を補完的に実施し、検討を進めてきている。なお、当該シンポでの議論を受けて、法律事務職員の変化の背景となっている日弁連事務職員能力認定研修・試験につき、日弁連業革委員会事務職小委員会では、さらにリファインを進める方向で議論が進んでいる。 他方、法律事務職員の活動を理論的に把握するためにLevinらのOJTを重視する議論を参考に検討してきたが、上記の調査結果を踏まえてC.Barnardに依拠して組織論的な観点からの補完修正を行っている。ただし、Barnardの組織論はおもに経営者による管理の観点から組み立てられており、法律事務職員の活動を的確に説明する理論枠組を整理するにはなお検討が必要であることが確認されている。理論的検討から一定の整理枠組は得ているものの、定量的調査及び定性的調査の結果と併せて統合するためには、より精錬させていくことが必要である。
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Research Products
(1 results)