2017 Fiscal Year Annual Research Report
a legal history of enforcement of the judgement in modern Japan
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25380014
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
川口 由彦 法政大学, 法学部, 教授 (30186077)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 執達吏 / 強制執行 / 競売 / 執行官 / 区裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治維新後、明治政府は、欧米諸国から近代的法律制度を急速に輸入し、立法と制度配備に力を入れた。しかし、当時の政府は、行政制度や軍隊の整備等にも多大の力を注いでおり、財政状況はかなり逼迫したものだった。 配置された裁判所においては、判事、検事、裁判所書記といった主要スタッフの人員を確保するために巨額の人件費が必要となり、裁判執行のための専門の人員を置くことの必要性は早くから指摘されたものの、なかなか具体化されなかった。結局、この具体化は、1890年7月25日制定の執達吏規則(法律51号)および執達吏手数料規則(法律52号)、同年8月1日制定の執達吏登用規則(司法省令2号)によってやっと成し遂げられた。これら法令によって、全国の区裁判所に執達吏を配置し、その収入は、俸給制でなく手数料制とすることとなったのである。政府は、このような方法で執達吏の人件費負担を回避したと言っていい。この手数料制をめぐっては、法制定当初から俸給制にすべきだとの批判があり、この点は、その後も常に議論の対象となった。しかし、その後の執達吏制度に関する数度の法改正においても、手数料制は維持され戦後にいたっている。1967年に、執達吏制度に代わって創設された執行官制度においても、手数料制は維持されて今日に至っている。 執達吏登用規則は、第1条で執達吏になるには年齢25歳以上で試験に及第する必要があるとし、試験を受けるには6ヶ月間の裁判所での職務修習が必要とした。第8条によると、この試験は、地方裁判所において年一回行われる。 東京控訴院は、8月初旬に執達吏登用試験の公告を行い、8月末までに応募した志願者は、9月に試験を受けた。東京始審裁判所での執達吏登用試験(筆記試験)は、9月14日午前9時より行われ、70余名が受験し、14名が合格した。この14名が同日午後の面接試験を受け、11名が最終合格を果たしたのである。
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