2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増井 良啓 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90199688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多国間税務執行共助条約 / OECD税務長官会議 / 自動的情報交換 / 共通報告基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
予定どおり、本年度は、国際的なフォーラムにおける動向の巨視的分析を継続するとともに、租税条約上の情報交換に関する個別的分析を進めました。
まず、国際的なフォーラムにおける動向については、2014年4月から7月まで東京大学法科大学院の演習で、租税手続法の国際的側面に関する国際機関の公文書を集中的に会読しました。中でも特に重要であると考えられたOECD税務長官会議(Forum on Tax Administration)の文書(「協力的コンプライアンス」に関する2013年の文書)について、これを紹介する書評を公刊しました。また、文献調査にとどまらず、2014年4月に東京でG20のBEPSプロジェクトの会合に出席し、9月にロサンゼルスでUCLAの研究者と意見を交換し、10月にムンバイでIFA Congressに出席し、11月にソウル大学でパネルをつとめ、2015年2月に東京でシドニー大学の研究者15名と研究集会を開くなど、双方向モードで情報の収集と事態の把握につとめました。
つぎに、租税条約上の情報交換については、多国間税務執行共助条約に関する専門家委員会の注釈につき、その主要部分を日本語の形で公表しました(「研究成果」の欄を参照)。また、租税条約に基づく自動的情報交換の枠組みが急速に整備されつつある点に着目して、銀行口座情報の共通報告基準(Common Reporting Standard)に関する検討に着手しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際的なフォーラムで次々に発せられる公文書を、演習参加者との緊密な協力により、じっくりと分析することができました。のみならず、次のような事情によって、国際的なフォーラムで議論されていることが、租税条約の運用に直結するばかりでなく、国内法の改正につながる、という展開がみられ、本研究の3本の柱が有機的につながってきました。すなわち、租税条約上の自動的情報交換の多国間枠組みがきわめて急速に進展し、条約上の枠組みを実施するための国内法整備がはやくも平成27年度税制改正で講ぜられたため、その法的検討に着手するに至っています。
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Strategy for Future Research Activity |
計画どおりに進めます。国際的なフォーラムにおける動向の巨視的分析を継続するとともに、租税条約上の情報交換について米国Aloe Vera事件など個別事例の収集・分析に力を入れます。当初の予定よりも研究が進捗するとともに、対象が拡大していますので、最終年度に予定していた、租税条約実施特例法に関する分析にも手を広げます。すなわち、自動的情報交換のために導入される共通報告基準について、条約と国内法の相互関係をくわしく検討する、という作業です。
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Causes of Carryover |
図書発注と納入のタイミングが、年度をまたいでしまいました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度開始後に納入された図書を、利用いたします。
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Remarks |
2014年度夏学期に開講した演習のwebページです。
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Research Products
(4 results)