2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380029
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
君塚 正臣 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (80266379)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 司法審査基準 / 司法権 / 事件争訟性 / 統治行為 / 特別権力関係 / 合憲性判断基準 / 表現の自由 / 議員定数不均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の成果の象徴となる『司法権・憲法訴訟論 上巻』i-xiv,1-611頁、『同 下巻』i-vi,1-762頁(共に、法律文化社、2018年1月31日)を刊行したことが最大の成果である。この基となる論考の公表は、本年度前半まで続いており、「特別権力関係論・終論──堀越事件判決の再考を経て」横浜国際社会科学研究22巻1=2号21-52頁(2017年8月20日)、「司法権論・憲法訴訟論序説──延長としての『特別裁判所』論を含む」横浜法学26巻1号1-94頁(同年9月25日)がそれである。また、同書の中で4つの章が未完であることを述べていたが、早くも、その1つについては、「日本における憲法院的機関の憲法上の可能性─内閣法制局・再考─『司法権・憲法訴訟論』補遺(1)」同3号1-62頁(2018年3月25日)として公表された。ほか、次の科研費研究のテーマに関わるものであるが、「警察官の不合理とは言えない法律の錯誤は、修正4条に照らして車両の停止を正当化する個別具体的な嫌疑があったかと言えるのか─HEIEN v. NORTH CAROLINA, 574 U.S. -, 135 S. Ct. 530 (2014)」同2号221-246頁(2017年12月25日)を公表し、「刑事手続─憲法学的検討の序として」大沢秀介退職記念(山本龍彦=大林啓吾編)『違憲審査基準─アメリカ憲法と判例の現在』227-252頁(弘文堂、2018年4月30日)の執筆を進めた。ほか、編著『大学生のための憲法』(法律文化社、2018年4月5日)を刊行、「新司法試験(憲法)論文式問題解説 2013-2017年」横浜国際社会科学研究22巻3号91-126頁(2017年9月20日)、「法学部関係者のための統計的思考のすすめ」同4=5=6号97-106頁(2018年2月20日)も公表、現代社会へのとびら36号に解説を執筆。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度に当初の計画通りに著書を刊行できたが、それが予定を大幅に超える(前書き・目次等を含め)合計1400頁程度の分厚いものとなり、上下巻となった(予想外の費用が必要となり、出版時に内容を圧縮したほか、索引が付けられなかった。索引については他日を期したい)。なおかつ、その刊行後にも、これを補充する形の論説等を公表できており、十分な成果を挙げることができた。基本的には、当初の予測通り、司法権の定義的に確定させることにより、事件争訟性に鑑みて、付随的違憲審査制の下で裁判所のできる憲法判断の範囲は確定でき、これを超越するいくつかの法理については、精神的自由の優越的地位という、憲法内であるが司法権以外の価値を持ち出す必要があったことを概ね立証したと思える。内容的にも、本研究は、当初の予定をクリアする成果を挙げたものと確信する。だが、その著書の中で指摘した、不足する4つの章を仕上げるため、1年間の延長をお願いしたものである。これをもって、当初の本研究の予定は完成するものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
延長年度であり、本研究の最終年度となる2018年度は、著書の中で不足があると認識した4つの章分の検討を行う。論説として公表することを目標とする。
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