2014 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ諸州の行政上の義務履行確保制度及び行政執行体制に関する調査研究
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25380031
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
西津 政信 愛知大学, 法学部, 教授 (10461659)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行政強制 / 行政制裁 / 強制金 / 代執行 / 封印措置 / 秩序違反 / 過料 / 公行政専門大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
改定後の調査研究計画に従い,ドイツ連邦共和国のハンブルク州(市)及びシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州都キール市並びにノルトライン・ヴェストファーレン州都のデュッセルドルフ市,チューリンゲン州都エアフルト市,同州ゴータ市(先方の調査協力申し出により,追加調査対象とした。)及びベルリン州(市)トレプトウ・ケーペニック行政区の各下級建築監督官庁を対象に,前二者については平成26年8-9月に,後三者については平成27年3月にそれぞれ現地調査を実施した。これにより,調査研究テーマに係る実務統計データ及び情報並びに関連公文書,法令注釈書及び関係判例の写しを収集した。 その結果,調査対象の3州都,1都市及び1行政区の建築規制に係る義務履行確保においては,強制金が最も活用されており,概ね8割を超える高い目的達成率を挙げていること,代執行や封印措置の適用は比較的限定されているが,各都市では,これらの行政強制手段や行政制裁制度としての過料を必要に応じて十分活用した実効的な義務履行強制及び義務違反に対する制裁が実現されていることが確認された。 さらに,既往の現地調査において確認されてきた行政職官吏が建築監督執行実務において果たしている重要な役割に鑑み,平成27年3月の調査では,ノルトライン・ヴェストファーレン州立及びチューリンゲン州立の各公行政専門大学を調査対象に加え,各都市の下級建築監督官庁において規制執行実務の中核を担っている行政専門職官吏の養成教育の実態に関する調査を行った。その結果,いずれも3年間にわたる着任前養成研修プログラムを実施し,法律専門科目の履修を行った後に行政機関における実務研修を受ける課程を,州内務省の厳格な管理統制の下に運営しており,州内地方公共団体の下級建築監督官庁ほかの行政機関に,専門的な知識・経験を備えた多くの人材を供給していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度からの繰り越しとしていた,ベルリン州(市)行政区について,平成27年3月に現地調査を実施し,また,当初の調査対象に含まれていなかった地方小都市についても,ゴータ市長のご厚意により,同市建築秩序課のヒアリング調査を実施することができ,有益な成果を得ることができた。 また,並行的に現地調査を実施した州立公行政専門大学についても,下級建築監督官庁における建築規制執行事務の運用を担う行政職地方官吏の養成教育について,重要な情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度及び次年度にわたり,改定後の調査研究計画に従って,残る6州都の下級建築監督官庁及び2州程度の公行政専門大学に係る現地調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
ホテルの選択において,中央駅近くの交通の便の良い安価なものを利用し,これによってタクシーでの移動を極力回避し,公共交通機関を最大限活用することなどにより経費節減に努めたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は州立公行政専門大学の訪問調査も並行的に実施するため,引き続き,上掲のような経費節減に努めることとする。
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