2013 Fiscal Year Research-status Report
行政のコミュニケーション過程改革の比較法的検討ーEUサービス指令を契機としてー
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25380037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
米丸 恒治 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00202408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 欧州サービス指令 / 電子政府 / 情報社会 / オンライン化 / 電子署名 / タイムスタンプ / eID / 電子文書保存 |
Research Abstract |
今年度は、研究計画に従って、ドイツ及び欧州連合各国の欧州サービス指令に関連する文献の調査と、同指令に基づいて、各国が精力的に進めつつある電子政府化等の改革施策を独・オーストリア、エストニア等の主要なサンプル国を中心に調査研究したところである。文献調査は、逐次進めることができており、今年度入手可能な文献については、適宜入手し、その概要を精査しているところである。また、電子政府化対応の各国の施策についても、とりわけ電子政府化の点では、他国の後塵を拝していたドイツが、どのような法制的な対応をして、電子政府化の改革を推進し、それのみならず、電子訴訟手続においても、精力的な法制的な措置を実施に移すことにより、全体としての電子社会化のステージにあることが、具体的な事例の調査等により明らかとなったところである。こうした個別の調査研究の成果の一部については、すでに公刊の手続を逐次進めているところである。 以上が、今年度の研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年4月1日、本研究課題に関連する極めてタイミングのよいエピソードがあった。日本の科学技術研究の一翼を担う独立行政法人理化学研究所において、小保方晴子博士らによるいわゆる「STAP現象」の存否に関するプレス発表があり、図らずも、同研究所の神戸市に設置された「発生・再生科学総合研究センター」副センター長による会見、そして京都大学山中教授の14年前のES細胞の発見に関わる論文についても、基礎的な研究データの保存・検証がなされない旨の報道がなされるに至っている。 こうしたことから(も)、日本におけるトップレベルの研究機関における実験データ等の保存や長期的な検証可能性に問題があることが、顕在化したことにより、本研究課題等で、申請者が進めてきた、「電子データ(電子文書)」の長期的な検証可能性を確保した上での文書管理長期保存システムの必要性が、明らかとなったと考えられる。ましてや、他の研究機関等においても、こうした長期的検証可能性の確保が喫緊の課題であることが、推認される。 こうしたことから、本研究課題の目的やその必要性は、これらにより、間接的に論証されたことになる。 一方で、ドイツにおいては、こうした必要事項についてのシミュレーションプロジェクトに基づき、こうしたシステムの実装、オープンソースでの提供が、すでに実施されている。申請者は、従来からの研究協力者との間で、従来からの調査研究結果の公開を準備し、日本における同様のプロジェクトを推進する打ち合わせを開始するに至っている。 こうした理由から、当初の計画以上に、進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、平成25年度の調査結果及び前記の評価に基づいて、研究パートナーたる関係者と、日本版電子文書長期管理保存システムの研究計画を立て、実施に移す。 さらに、平成27年度に向けて、調査研究機関の研究関連データのみならず、大学等の教育研究機関で広く利用可能な、電子文書管理システム構築のためのプロジェクトについての研究も進める計画を立てている。 この2年間は、前記のエピソードに触発された、申請者ならびにICT事業に関係する技術者及び電子文書保存関連の業界団体等の関係者とも調査を進める予定であり、現在その基本的な方針を立てつつある。 また、大学等においても、学位論文の剽窃問題対応など、研究教育の成果の社会的な公開にあたっての議論がすすめられつつあるため、こうしたアカデミック・ニーズへの少ないリソースでの対応手法についても、標準化に向けたプロジェクトとして、事業を進めることを打ち合わせつつあり、結果的に、広く社会貢献を行うことができる可能性のある電子文書管理のありかたについて調査研究する見込みが出てきている。こうした視点と長期的な社会貢献に向けて、具体的でなおかつ実現可能性のある調査研究を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において、発注済であったが発売・納品されない図書、物品等が存在したため、基金の次年度繰越額が生じたものである。 平成26年度においては、上記繰越額も含めて、研究計画欄に記載したプロジェクト推進のための予算執行を行い、適宜、コンプライアンスを確保した予算執行を確保する。
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Research Products
(4 results)