2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research of the articles of tax treaties on service provision
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25380048
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 慶二 早稲田大学, 商学学術院(会計研究科), 特任教授 (50431664)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際租税法 / 租税条約 / 役務提供取引 / BEPSプロジェクト / 国連モデル条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に残されたテーマは、人的役務提供と無形資産の譲渡との間の境界線の引き方とそれぞれの課税手法に関する研究であり、そのための参照文献として、①OECD/G20による税源浸食・利益移転(BEPS)プロジェクトにおける移転価格税制のガイダンス資料(2016年6月に公表され同10月にコンサルテーション実施)、及び②国連税の専門家委員会で検討された租税条約の技術的役務に関する新条項案の二つを検討した。 前者からは、①無形資産の移転に際して供与される専門技術者による技術支援がどちらに属するかは、当該無形資産の性格とその移転に際して供与される技術の内容との具体的な関連性を審査して個別具体的に判断されるべきとの原則と、②切り離し確認がされた役務提供は通常第3者間では供与されないグループ内独自のものであり、その適正対価の確認のためには外部の比較対象取引に頼らない「利益分割法」の適用が必要と夏ケースが多いことの2点が確認された。 後者からは、恒久的施設の存否にかかわらず支払者の所在地国(役務受領者の居住地国)に一定の専門的技術の源泉課税権を与える新条項が国連モデル条約に導入されること、②その際の所得源泉地を定めるソースルールは、使用地主義ではなく債務者主義によることを原則とすることが確認された。 なお、これらの新規施策の評価及び各国における導入状況については、国際機関の公表文書及び国際租税関連の定期刊行物の資料を読み込んだほか、IFA(国際租税協会)の年次総会に出席し、各国の税専門家のBEPS改善案や国連モデル条約改定案の評価や各国での取り組み状況について、意見聴取等により取りまとめた。 その結果、特に多国籍企業の巧妙な租税回避スキームの拡大を念頭に置き、源泉地国における役務提供に対する課税権の行使範囲の拡大が確実に進行しそれが学界からも肯定的な評価を受けていることが確認された。
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Research Products
(2 results)