2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25380055
|
Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
佐藤 雄一郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30572953)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 発達障害 / 教育を受ける権利 / 合理的配慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は、これまで長崎大学医学部精神神経科学教室の皆様から御教示いただいた発達障害に関する医学的知見を基に、大学において発達障害のある学生に対し合理的配慮を行うか否かについて、そして合理的配慮を行う場合の実施内容をいかに決定するかという点について、法律学の知見を用いて検討してきた。この点について、文部科学省の「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」が平成24年12月に取りまとめた報告(第一次まとめ)の中では上記決定過程において考慮すべき点として、①当該学生の教育を受ける権利(学生本人の教育的ニーズと意思)、②大学等の体制面、財政面、③「均衡を失しない」又は「過度ではない」負担、④当該学生の意思表明のプロセスの支援、⑤当該学生への過度な干渉やハラスメントが行われないこと、⑥学生本人を含む関係者間における可能な限り合意形成、共通理解、⑦学外の専門家等の第三者による意見の参照、⑧当該学生による根拠資料の提示、⑨学内の組織体制の整備、⑩当該学生の障害の状態や病状の変化に対応すること、という10点が挙げられている。本研究としては、これまでの最高裁判例からみて、これらの考慮要素に大学教員の教授の自由を加えるべきであると考え、考慮要素間の調整について、行政法判例における判断過程統制の議論が参照に値することを明らかにした。なお、判断過程統制については、東北大学非常勤講師の曽我洋介氏からも専門的知見の提供を受けた。
|
Research Products
(2 results)