2013 Fiscal Year Research-status Report
文化多様性を包摂した国際人権基準の国内実施に向けた課題と方法
Project/Area Number |
25380064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
北村 泰三 中央大学, 法務研究科, 教授 (30153133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
西海 眞樹 中央大学, 法学部, 教授 (50180576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化多様性 / 国際人権法 / 欧州人権条約 / ユネスコ文化多様性条約 / 開発と人権 / 多文化主義 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は、「文化多様性を包摂した国際人権基準の国内的実施にむけた課題と方法」という主題に向けて共同研究というスタイルをとっている。経済及び人権の観点からアプローチすることを試みことを目的としている。共同研究であるので各参加メンバーの自発性を尊重しつつ、研究会の開催を通じて本研究テーマについての共通理解の確立と深化を目指している。平成25年7月23日の研究会では、本研究課題の意義と研究計画の概要及び進行方法について議論し各参加者のコンセンサス形成を目指した。同時に、小寺智史(西南学院大学准教授,研究協力者)が「開発の国際法の行方-新たな「新国際経済秩序」に向けて-」と題する報告を行った。 平成26年1月29日には、英国よりブライス・ディクソン教授を招へいして中央大学で講演会を開催した(演題「欧州人権条約と英国最高裁判所」)。この講演の趣旨は、英国の最高裁判所が欧州人権条約を解釈適用する際にどのような問題を抱えているかを論じたものであり、特に教授は、一律に欧州人権裁判所の解釈に縛られるよりも、各国の多様性に基づき各国内裁判所を通じてより豊かで広範囲の人権の解釈適用を追求することでより豊かな人権保護の到達するべきであることを強調した。こうした視点は、本研究テーマにも有益な視点を与えてくれたものと思われる。 平成26年3月6日の研究会では建石真公子(法政大学、分担研究者)が「生殖をめぐる権利に関する共通基準と国の裁量-フランスの法状況およびヨーロッパ人権裁判所判決の検討から」と題する報告と谷口洋幸(高岡法科大学、研究協力者)が「伝統的価値の尊重と国際人権に関する研究ノート」につじて報告を行い、活発な議論を行った。これらの研究成果を手がかりとして、今後の研究の発展に立たせる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下のように本年度は、一定の研究成果を残すことができた。 まず国際法における文化多様性概念の基礎的研究については、各研代表者と研究分担者の研究成果は、別紙に記載しておくので、ここでは研究協力者による研究状況についいてとりまとめておく。まず、稲木 徹(上海海洋大)「ウィーン人権宣言の再評価―「人権に関する文化間対話」の視角から―」法学新報120巻9・10号、2014.3がある。久保庭 慧「ユネスコの活動における文化多様性概念の展開―その多面的把握に向けて―」法学新報120巻9・10号、2014.3。 次に、「女性、性的マイノリティの人権と文化多様性」に関する研究も本研究の柱の1つである。これに関連して建石真公子と谷口洋幸が研究を行っており、共同研究会で報告も行った。研究に関連して、建石真公子「フランス憲法院における比例原則による基本権保障-フランス的憲法伝統とヨーロッパ法の交錯―」比較法研究75号, 237-245頁、2013年が公表されている。また佐々木 亮(中央大学大学院博士後期課程)による「欧州人権条約における差別禁止規範の発展とEU法の影響―間接差別を中心として―」(法学新報120巻9・10号、2014年3月刊)がある。 2014年1月には、外国人研究者として英国からブライス・ディクソン教授(クィーンズ大学教授)を招へいして講演会を実施した。講演原稿を北村が翻訳し、比較法雑誌に掲載予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き共同研究会の実施を継続し、意見交換を行って、研究テーマを掘り下げていく計画である。 また外国での調査研究の実施と外国人研究者の招へいも予定通り実施する方針である。。本年度は、フランスからティエリー・ルヌー(Thierry Renoux)マルセイユ大学教授を招へいして、主としてフランス憲法院による欧州人権条約の解釈、適用問題について講演をお願いする予定でいる。フランスでは、文化多様性又は多文化主義と人権とについてどのような法的問題があるのか、フランス人研究者の視点から直接話しを聞く機会とする。 特に本年度中に特に研究計画の変更はない。 昨年度中に未執行の予算については、熟慮の上、本年度内に効果的に執行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度内予定していた図書及び消耗品等の購入が少なかった。 図書を購入するとともに、外国出張の予定枠を1名分増やすことを予定している。研究協力者である谷口洋幸が国連の人権関係の会議への傍聴を計画している。
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Research Products
(11 results)