2015 Fiscal Year Research-status Report
文化多様性を包摂した国際人権基準の国内実施に向けた課題と方法
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25380064
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
北村 泰三 中央大学, 法務研究科, 教授 (30153133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建石 真公子 法政大学, 法学部, 教授 (20308795)
西海 眞樹 中央大学, 法学部, 教授 (50180576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際人権法 / 文化 / 文化多様性 / ジェンダー / マィノリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究の目的 国際経済のグローバル化現象が進行するとともに、地域社会の側においては文化破壊が進むことに対して危機感をつのらせてきた。ジェンダー法学やマイノリティ保護の分野では、文化と法との関係を人権問題として捉えることによって、文化多様性を包摂した国際的人権基準の再定義が求められてきた。本研究は、文化多様性を包摂した国際的人権基準の再定義の現状を検証するとともに、そうして確認された国際人権基準を国内的に実施するための課題と方法を検討することを目的とする。そのため、本研究では、特に国際人権法と国際経済法(又は開発国際法)との相互的な連関性に着目することにより、両分野から文化多様性を包摂した人権基準を国内的に実施する際の問題点を検討する。 2.本年度の実績 今年度も引き続き、共同研究会を実施して、報告および意見交換を行ってきた。また、本研究に参加する個別研究者により研究発表が活発に行われてきた。北村泰三(中央大学)、西海真樹(中央大学)はそれぞれ、英文の論文を公表した。建石真公子(法政大学)、谷口洋幸(高岡法科大学)は、小寺智史(西南学院大学)も個別論文を公表することにより共同研究テーマを深める機会を得た。また、英国留学から帰った佐々木亮(中央大学法科大学院)も研究会の連絡調整役として復帰した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究の進捗を踏まえて2016年6月に開催される比較法学会においてミニシンポジウムを企画し、その成果を本研究の取り纏めに活かす方針である。なお、2016年4月より西海真樹教授が在外研究のため留守になるので、共同研究に参加できなくなった。そのため石山文彦(中央大学法学部教授)の参加を得てシンポジウムに望むことになった。石山教授の参加を得て、本研究もより充実するものと思う。また、佐々木亮(中央大学大学院)にも積極的に研究計画に加わることになった。 なおシンポジウムの企画は次のような次第である。 特にマイノリティの権利とジェンダーを視点として、文化多様性の意義を明らかにし、かつその尊重が絶対的ではないとするならば、その射程を見定める基準はあるのかという観点から議論を深めたい。法哲学を専門とし多文化主義と法についてパイオニア的研究を行ってきた石山文彦が、テーマを俯瞰する立場で全体に共通する視点を提示する。すなわち、文化多様性の維持・促進が公的文書の中でも肯定的に捉えられる傾向が見られるが、それが必ずしも無条件に擁護できるものでもないことを前提として、多文化主義やグローバル正義の理論に依拠して、国内と地球規模それぞれの文脈において、はたして、あるいはどこまで、文化多様性の維持・促進が望ましいかという議論を提示する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を取りまとめるために、本年度は出版を計画している。国際社会における文化多様性を尊重し、かつ保護するための現代社会が抱える諸課題を考察することを目的とする。 1.本書の企画の趣旨 (1)国連憲章及び世界人権宣言等により個人の尊重が国際的な価値と規範性を有することが言及されており、また国際人権規約及びその他の人権諸条約も同様の趣旨を繰り返して述べることにより、人々が固有の文化を享有する権利に対して法的基礎を与えている一方で、今日、国際経済のグローバル化現象が進行するとともに、地域の文化的多様性の破壊が危惧される現象が起こっていること。加えて、各種人権条約の適用により、個の尊重を基礎として、従来疎んじられてきたマィノリティの文化多様性の尊重が正面から問われるようになった。2008 年に国連総会は「人権と文化多様性」決議を採択し、EU も「多様性の中の統合」を基本原則とするなど、人種、民族、宗教、性差等に関わりなく文化多様性の尊重を求める国際社会の動きは高まっている。 (2)他方で我が国においても、多文化共生や多文化社会化の必要性も叫ばれて久しいが、むしろ近年は多文化的状況を敵視し、排撃する主張すら声高に叫ばれる状況が生まれている。性的自認の尊重を通じた多様性の尊重という意識も次第に社会的な理解を得られる状況が形成されてきたが、わが国では未だ法的保護にまでは至っていない。その背景には、文化多様性の尊重及び多文化主義のあり方に関する法的意義又は文化享有権にまつわる法的研究は、若干の先駆的なものを除いて希薄であり、その意義は曖昧なままである。文化多様性を踏まえつつ、国際的な共通の規範として認識し、考察すること重要な意義がある。 2.出版の準備状況: 出版は、中央大学比較法研究所研究叢書として、中央大学出版部から出版する方針である。出版時期は、平成29年3月を目処としている。
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Causes of Carryover |
研究は、ほぼ予定どおり進んでいるが、最終的な研究成果を取りまとめて、出版するための時間が必要であるために、研究を1年間延長することを希望した次第である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究報告を兼ねて、比較法学会(2016年5月、関西学院大)に出張する旅費、2名分を確保する(12万円)。出版に伴う、各研究者間の連絡調整、原稿の点検、校正等の作業のためアルバイトを確保する(約20万円)。図書費として、10万円。外国出張旅費(北村泰三、1回30万円程度)を確保する。
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Research Products
(10 results)