2013 Fiscal Year Research-status Report
搾取型濫用・優越的地位濫用の規制に関する競争法上の研究・国際貢献の基盤構築
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25380070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 忠志 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30196604)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 競争法 / EU / 独禁法 / 独占禁止法 / 特許 / 搾取型濫用規制 / 優越的地位濫用規制 / 市場画定 |
Research Abstract |
平成25年度は、EU競争法の搾取型濫用規制における事例の進展とこれまでの議論について、日本において優越的地位濫用規制を分析してきた経験を活かし、それとの異同を解明する研究をおこなった。EUについては、従来の判例法に加え、最近の搾取型濫用規制の特徴が現れている重要事例であるRambus事件とStandard & Poors事件の両決定書の理由づけを特に参照した。日本については、優越的地位濫用ガイドラインと、課徴金制度導入後の排除措置命令書(違反要件論が相対的に充実している)とを参照した。 その結果、大方に言われていることとは異なり、EU競争法における搾取型濫用規制と日本の優越的地位濫用規制との間には程度問題の差はあり得るとしても質的には差はない、ということを確認できた。支配的地位と優越的地位については、市場概念に関する仮象問題としての差があるのみで少なくとも質的な差はなく、濫用については特に差はみられなかった。 その成果は、日本経済法学会年報35号に掲載し同学会で発表すべく準備中である(平成26年秋予定)。 また、そのような搾取型濫用規制・優越的地位濫用規制の比較研究の基本をなす市場画定問題、搾取型濫用規制と隣接する排除型濫用規制、そして搾取型濫用規制の事例を豊富に提供する知的財産権関係問題のそれぞれについて研究を発表し、また、日本の搾取型濫用規制の最近の興味深い一例である消費税転嫁特措法を英語で紹介する文献を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EUと日本との関係について予定通りの成果をおさめ、日本の状況を発信する成果を1本まとめ、更に、理論的状況をまとめる研究を複数まとめている。学内の業務のため外国出張をすることができなかったが、EU弁護士、欧州委員会職員、ブラジル弁護士、ソウル大学からの訪問団、などと研究交流をすることができたため、特に計画の進行に支障は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画通り、東南アジア等のアジアの研究または米国の研究に取り組みたい。東南アジア等に素材が得られなければ、EUに関する継続研究と米国に関する更に深い研究に取り組むことになる。
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