2014 Fiscal Year Research-status Report
搾取型濫用・優越的地位濫用の規制に関する競争法上の研究・国際貢献の基盤構築
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25380070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 忠志 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30196604)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 搾取型濫用 / 優越的地位濫用 / 独禁法 / 競争法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、北京大学・ソウル大学の教員等と東京大学の教員等によって組織されるBESETO会議(平成26年9月)において競争法に造詣の深い研究者・実務家と交流する機会をもつことができるなど、有意義な刺激を得ることができた。今後において研究成果をまとめる際の貴重な礎となるものと期待される。 平成26年度においては、前年度の研究の成果をまとめる作業を並行して行っており、EU競争法の搾取型濫用規制における事例の進展とこれまでの議論について、日本における優越的地位濫用規制との異同を解明する研究について学会発表をするとともに、その成果を公表できた(日本経済法学会年報35号)。大方に言われていることとは異なり、EU競争法における搾取型濫用規制と日本の優越的地位濫用規制との間には程度問題の差はあり得るとしても質的には差はない、ということを確認できた。 EU競争法に関する研究の副産物として、日本の競争法を英語で紹介する論文を共同執筆し、そのなかには搾取型濫用規制に関する記述も盛り込んでいるところ、これを出版物の1章として公表できる運びとなっている。 搾取型濫用規制を日本において民事的に実現するには独禁法24条による差止請求制度が重要であるところ、差止請求が認容された貴重な事例である神鉄タクシー大阪高判が言い渡されたので、これを、搾取型濫用規制においても重要な意味をもつ市場画定問題にフォーカスを当てた形で研究した成果を公表した(ジュリスト1476号)。 さらに、前年度の成果として公表した知的財産権関係問題について、この内容を発展させて英語で公表する誘いを受けており、平成27年度においてこれを実現させるべく作業に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東アジア・東南アジアの議論の進展を把握することができ、EU競争法に関する学会発表をしたうえで成果を1本の論文にまとめ、EU専門家との共著による日本競争法に関する英語での発信を1本の論文にまとめる準備を進め、日本の貴重な事例の研究を1本の解説にまとめ、知的財産権関係の搾取型濫用規制について英語で成果にまとめる準備を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は米国に関する状況をまとめることを計画していたところ、平成25年度の日本語での成果について知った米国の気鋭の研究者から英語での成果の公表を勧められるという幸運を得たので、この機会に米国に関する研究交流を更に進め、所定の成果を得たいと考えている。
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