2013 Fiscal Year Research-status Report
問題の複雑化に対応する労働紛争解決システムとしての独立専門委員会制度の比較研究
Project/Area Number |
25380071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水町 勇一郎 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20239255)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 労働法 / 労働紛争解決 / 独立行政委員会 / フランス法 / Defenseur des droits |
Research Abstract |
EUの2000年均等待遇基本枠組指令とそれに基づくEU加盟国の国内法、フランスの高等差別禁止平等機関(HALDE)および権利擁護機関(Defenseur des droits)、イギリスの機会均等委員会(EOC)および平等人権委員会(Equality and Human Rights Commission)についての文献・資料の検索・収集を行った。 フランスを訪問し、フランスの労働紛争解決制度の概要およびそのなかでの権利擁護機関の役割と限界について、情報・資料収集を行った。また、イギリスなど他のEU諸国との比較という視点からも、調査・分析を行った。今回の訪問調査では、Antoine Lyon-Caen弁護士(フランス破毀院、国務院弁護士)、Pascal Lokiec教授(パリ西大学)、Sophie Latraverse氏(フランス権利擁護機関)等と面談し、学術面・実務面の双方からの情報提供を受けるとともに、平成26年度以降の本格的な調査に対し協力支援を受けることについて具体的な協議を行った。 また、国内では、厚生労働省、内閣府、労働政策研究・研修機構等の委員会・研究会、日本労働法学会等の学会・研究会に参加し、労働紛争解決制度の比較法的研究を行うための基礎的な視点や情報を得られるよう努めた。東京都労働委員会での公益委員としての職務遂行も、このような視点・情報を得ることに大きく寄与しうるものである。 以上のような文献収集と聞き取り調査等を通じて、労働紛争解決制度の枠組みとそのなかでの独立行政委員会の役割・限界に関する分析の枠組み・視点について考察を深めると同時に、平成26年度以降のフランス権利擁護機関、イギリス平等人権委員会の本格的な訪問・聞き取り調査についての準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での多面的な情報収集・研究会参加、フランスへの訪問調査による情報収集・本格的調査準備の双方で十分な成果を上げることができ、初年度としては2年度目(平成26年度)以降の本格的な調査・研究に向けての十分なステップを踏むことができた。とりわけ、フランスのHALDEおよびDefenseur des droitsで労働紛争解決の中心的な役割を果たしてきたSophie Latraverse氏に面談でき、紛争解決の現場での重要な情報と次年度以降の調査への協力が得られたことは、今後の研究を展開していくための重要な成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
フランスの権利擁護機関、イギリスの平等人権委員会についての文献・資料を継続的に収集する。 平成26年度以降、フランスの権利擁護機関、イギリスの平等人権委員会を訪問し、聞き取り調査を行う。いずれも、本部(パリ、ロンドン)と、それ以外の地域とで聞き取り調査を行い、本部および各地域における問題解決の実態と課題についてヒアリングする。同時に、Antoine Lyon-Caen弁護士、Catherine Bernard教授等から学術的な情報や助言を得る。 これらの作業と並行して、国内外で開催される労働法(特に労働法の機能不全と労働紛争解決のあり方)に関する学会、研究会、講演会等に可能な限り参加し、情報を収集する。 以上の研究を総括しつつ、日本の今後の制度設計への視点と具体的な示唆について考察し、本研究の成果をとりまとめ、公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
情報の整理、データベースの作成のために新たなパーソナルコンピュータを2013年度に購入することを予定していたが、既存のパーソナルコンピュータの耐用年数およびコンピュータソフトの切り替え時期との関係で、その購入時期を2014年度初めにすることが合理的であることが判明したため。 2014年度初めにパーソナルコンピュータおよびコンピュータソフトを購入する。
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Research Products
(4 results)