2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢社会における在宅医療の給付構造と提供体制に関する法的検討
Project/Area Number |
25380073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 道彦 金沢大学, 法学系, 教授 (10295016)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 在宅医療 / 医療計画 / 診療報酬 |
Research Abstract |
平成25年度は、都道府県医療計画における在宅医療の位置づけについて資料収集を行い、分析を行うとともに、在宅医療連携拠点事業の実施状況について調査、検討を進めた。これらの作業と併せて、在宅医療の拡充、医療と介護の連携などの政策課題の遂行において重要な役割を果たす診療報酬による誘導施策について検討、分析を進めた。 以上の作業をもとに「医療を受ける者の利益」について、前年までの研究作業を加えて研究成果としてまとめた。在宅医療の提供体制の整備状況や提供される医療の質は、医療計画や診療に従事する医師や医療関係者の技能、診療報酬上の評価など様々な要因に基づいて構成ないし規定されており、明確な権利義務関係において位置付けることが困難なものである。この研究成果では、これらを「医療を受ける者の利益」を実現する仕組みとして体系化する試論を展開し、医療提供体制の多重的な利益構造と実現手段の対応関係について検討した。ここで展開した分析を今後は、本研究課題における分析視角のひとつとして位置づけてゆきたいと考えている。 このほか、在宅医療の拡充において重要な役割を担う専門医制度の養成、認定についてアメリカ法との比較研究を行い、反トラスト法との関連から専門医認定制度を考察した小論を研究成果とした公表した。また、在宅医療の実施において関連性の高い課題である成年後見制度における身上監護とその費用負担についての論文を執筆した(2014年5月刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の遂行に必要な作業を行ったほか、研究課題の分析視角を理論的に検討し、暫定的な研究成果としてまとめることができた。また、国際比較に必要な予備的作業をすすめ、その一部を研究成果としてまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき、終末期医療を含めた在宅医療のあり方、医療、介護の連携体制について検討を進めることを予定している。とりわけ後者の課題に関連して、2014年の診療報酬改定において医療介護の連携促進を図る各種施策が進められるとともに、今後の政策動向に大きな影響をもたらす法律の制定が予定されている。このため、これらの内容を精査しつつ、基礎自治体でのヒアリングなどを通じて、法的課題の抽出とそれらの分析に努める予定である。また、平成26年度後半には、アメリカの医療連携組織(Accountable Care Organization)の実施状況と法的諸課題について、医療制度改革の進展も踏まえつつ、調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度最後に予定していた研究会への参加が、都合により、実施困難となったため。 平成26年度分として請求した助成金については、聞き取り調査の実施、研究会での報告・資料収集、海外での聞き取り調査・資料収集、研究に必要な書籍の購入にあてる予定である。 次年度使用額となった助成金については、上記の使用計画にあわせて、平成26年度に開催される研究会に参加する際の出張旅費として使用することを予定している。
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Research Products
(5 results)