2013 Fiscal Year Research-status Report
市場と規律―効果的なモニタリングとサンクションの多様化に関する比較法的考察
Project/Area Number |
25380084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 雅昭 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30380124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 純子 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40267894)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 刑事政策 / 企業犯罪 / 経済刑法 / 会社法 / 比較法 / 市場 / 制裁 |
Research Abstract |
研究代表者において、本研究課題に関する基礎理論について先行研究を踏まえた整理を行うとともに、文献資料に基づく調査の不足を補うべく現地調査を行った。本研究は、現代の経済社会において重要な役割を果たす企業の大半が法人形式をとることに鑑み、法的視点から企業の機関の行動原理を解明するとともにその法的規制のあり方を探求しようとするものであり、とりわけそこにおける刑事法の機能に関心を寄せるものであるが、企業活動規制が従来、行政取締法規の領域において取り扱われることの少なくなかったことから、まず初年度は文献資料に依拠して、対応する刑事法の応用分野である行政刑法における関連の議論状況を批判的に振り返ったうえ、そこで未解決の問題を析出するとともに、これに取り組んできた諸外国の状況を概観した。その際、イギリス及びイギリス連邦のオーストラリアにおいて、きわめて先進的な制度的取組みの実施されていることが知られていたものの、その後の運用状況について本邦内において文献資料から情報を得るのが困難であったため、現地調査に及んだところ、一定の成果を得たので、文献調査の成果と合して近々、発表するべく論稿のとりまとめに着手した。 また、研究分担者においては、本研究課題を会社法の観点から捉える場合の諸論点を整理したうえで、各々の論点に関する基礎的考察を行う前提として、基礎資料その他の情報の収集に努めた。この目的のもと、イギリス及びドイツへの渡航を通じて、現地研究者との情報交換を行い、また、貴重資料の収集と整理及びそれらの読解を通じて諸論点に関する考察を深めつつあるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者において、とくに文献調査に関して必ずしも当初計画のとおり推進することができなかったことが悔やまれるが、研究成果が一定程度、蓄積される都度、これを各種研究会等において発表のうえ、関連領域の研究者からの批判を吸収して再構成する機会を設けることに努めた。また、研究分担者と共同で近々、初年度の成果を論稿形式で発表予定であり、これに向けて研究分担者との間において綿密な調整を遂げ、第2年度以降の研究の具体的方向性について確認するに至った。 他方、研究分担者においては、初年度中に渡欧により収集した膨大な文献の読解を通じた基礎的考察の地固めの途上にあるが、その内容について研究代表者と綿密な刷り合わせを行い、協働して研究成果を公表する予定で論稿をまとめつつある。 以上、研究代表者において若干の遅れがあるものの、研究分担者における進捗状況を勘案すると、本研究は全体としておおむね順調に進展していると評価して差し支えないものと思料される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者においては研究分担者とともに、初年度の文献調査及び現地調査の成果について近々、論稿形式で発表する予定であるほか、アジア犯罪学会第6回年次大会において口頭発表を予定している。また、初年度の現地調査により収集した文献資料その他の情報の解析及び所在の確認された文献資料の収集・解析に引き続き努めるとともに、その過程で生じた疑問点を解消するべく、比較法対象国(イギリス及びドイツ)に渡航して順次、現地調査を敢行する所存である。イギリスにおける先進的取組みに係る裁判実務の状況を把握する必要性はとりわけ高く、渡英は不可欠であり、本邦在住のイギリス人研究者等から得た手がかりを活用して、可及的最大限の成果を持ち帰ることができるよう努めることとする。 また、研究分担者においても、引き続きイギリス及びドイツへの渡航を行い、現地調査の成果を踏まえた、より精緻な比較法研究を心がけるとともに、内外に向け、口頭報告や研究ノート等のかたちで中間成果を公表し、批判等を仰ぐことにより、成果のさらなるブラッシュアップに努めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者に関して、本邦内において収集困難な文献資料を渉猟するべく現地調査に赴いた結果、文献資料を多数持ち帰ることを得たものの、本研究において注目する先進的取組みはその歴史も浅く、必ずしも成熟したキーワードで語られ得る場合ばかりではないため、前記文献資料の解析に予想以上の時日を要したうえ、これら第一次的資料に対する派生資料の収集及び解析を初年度内にすべて終えることができなかった。 研究代表者に関して、第2年度当初から直ちに、初年度内に終えることのできなかった前記文献資料収集作業に引き続き取り組んでいるほか、初年度の研究成果を近々、発表する予定でもあるので、これを契機として文献資料の収集ないし解析も加速度的に進捗するものと見込まれ、その後、当初計画のとおり第2年度の研究業務が順調に推移することについても特段の懸念を感じていない。
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Research Products
(3 results)