2013 Fiscal Year Research-status Report
契約の拘束力と「後悔する権利」-消費者の撤回権と贈与の撤回をつなぐもの
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25380093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 清治 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20212772)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 贈与 / 撤回 / 担保責任 / 任意解除権 |
Research Abstract |
契約の拘束力の根拠を「後悔する権利」との関係で解明しようとする本研究プロジェクトにあっては、平成25年度は、民法典に散在する「後悔する権利」に関連する諸制度に関する検討を深めた。たとえば本研究プロジェクト申請後、その準備を進めるなかで、①池田清治・基本事例で考える民法演習(日本評論社、2013年3月)を公刊したが、そこでは、委任や請負における任意解除権の問題を取り上げ(146-155頁)、再度この問題について考究する機会を得た。また②池田清治「他人の物の贈与とその効力」(法学セミナー697号88頁)では、本研究プロジェクトの中心的課題である贈与を取り上げ、その無償性に由来する担保責任のあり方について踏み込んだ検討を行った。さらに、これと対比するため、③池田清治「他人の物の賃貸借と担保責任」(法学セミナー700号97頁)を執筆した。 なお、上記の業績のうち、①と②は、本研究プロジェクト申請後、その準備も兼ねて公表したものであるが、公表時期が2013年3月であるので、「13.研究発表」の欄には挙げていない。 他方、比較法的検討については、ドイツの贈与法に関する試掘を開始し、契約の性質決定問題が「後悔する権利」と密接な関連を有するのではないかとの感触を得つつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、民法典に散在する「後悔する権利」に関連する諸制度を取り上げ、各制度について検討を進める、という点では、上記のとおり、順調に推移しているといえる。 これに対して、比較法的検討については、いまだ「試掘」の段階ではあるが、資料収集は相当程度進行しつつあるし、また分析の観点についても見通しが立ちつつある。 本研究プロジェクトは、かなり広汎な性質を有するものであり、そのようななか、現在の進捗状況は、おおむね順調と評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
民法典に散在する「後悔する権利」に関連する諸制度について、さらに検討を深めるのが第1の課題である。上記のとおり、既に若干の制度については、考究したが、検討すべき問題はまだ残されている。 次に、比較法的検討に本格的に着手することも課題といえる。さらなる準備を要するけれでも、興味深い観点を提供してくれるものと考えている。 さらに、ここに来て、債権法改正との関係も課題として登場してきた。改正案の最終的な骨子が示された段階で、本格的な検討を要する事項となろう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額とされている127,804円のうち、126,760円については、書籍及びプリンターのトナーの購入によって、すでに2013年3月に執行している(ただし、執行が年度末であったため、3月時点の収支簿には記載されていない)。そのため、次年度使用額は1,044円であり、この「端数」ともいえる額については、次年度の使用額に組み込むことで、より効率的な執行をすることとした。 上記のとおり、次年度使用額は、厳密には、1,044円であり、物品費等に充てることとする。
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