2016 Fiscal Year Research-status Report
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25380095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 修 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40202361)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 債権担保 / 不動産担保 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、27年度に引き続き、不動産からの債権回収の研究を進めた。採り上げた問題は不動産の共同担保法制(日本民法典392条に関連する)および被担保債権の責任法関係(日本民法典394条に関連する)の比較法的検討である。前者は特に、担保目的財産の割付残余価値についての債務者の担保利用の効率的促進という観点から、いかなる法制が用意されているかについて、ドイツ・フランス・アメリカの比較法を行った。その結果、アメリカ・イギリスにおけるmarshallingやフランス民法典旧規定2114条2項(新規定2393条2項)に関する「正当な利益」の判例法理に比べ、日本民法典392条の後順位抵当権者の代位は極めて精密な他国に例を見ない枠組であることが明らかになった。後者に関しては、担保不動産からの回収によって回収残が生じた債権者が,どのような手続で、債務者の他の責任財産に掴取力を行使できるかという問題であるが、理論的には被担保債権が担保カバーされた部分とされない部分とに区分けされること(bifurcation)を,法制上どのように表現するかという問題でもあり、倒産法との関連も踏まえて検討を進めた。具体的には、アメリカについてはノンリコース制度の研究を進めた。またドイツ・フランスについては、私法史的な検討を行った。その結果、両国では歴史的にはまず、担保債権者に担保目的不動産に限定された掴取力のみを認める段階が到来し、債務者の一般財産に対する人的責任が認められていくのは,むしろその後の法発展によるものであることが跡づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドイツ・フランス・アメリカの不動産担保法制については概ね制度的なサーヴェイが終わった。フランスにおいては概ねに本法と制度的な枠組が共通しているが、ドイツ・アメリカに関しては、前提となる実定的制度にかなりの相違があるため、紛争の現実に照らした、機能比較法を行った。特に注意したのは不動産担保権の実効局面であるが、この点に関してアメリカでは90年代末からmortgage改革が進められてきた。本研究もそれを跡づける努力をしたが、サブプライム危機以降の動きについての調査が不十分である。また物権法制上、我が国とは極めて異質な構成に立つイギリス法の研究が緒についたばかりとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
数年にわたって進めてきた比較法研究は、動産担保・債権担保・不動産担保という、担保目的物毎の特性に留意したものであった。最終年度はこれらを横断的な観点で整理する段階に進みたい。そのためには,二つの観点がを用意している。第一は,実際に種類の異なる担保目的物を横断的に取り込んで為される金融取引,例えば日本ではABLと呼ばれているようなものに着目して、そこでの議論を跡づける形で整理を行うことである。第二は、とりわけ各国の判例・学説において問題となる具体的な争点を踏まえつつ、そこでの議論に繰り返し現れる法学的なモチーフを取り出し、方法的・抽象的にいくつかの代表的な視角を取りだすことである。このように具体的・機能的な視点と、理論的な視点との両面から,これまでの研究を総括して、公表に向けての準備を進めたい。
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