2013 Fiscal Year Research-status Report
口頭弁論終結後の承継人に拡張する既判力についての研究
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25380096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菱田 雄郷 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90292812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民事訴訟法 / 既判力 |
Research Abstract |
本研究は、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力拡張について、とりわけその作用の仕方の解明を目的とするものである。このような作業の第1段階として、本年度は基礎的な作業を行った。 外国の関連する制度の調査としては、ドイツ法について若干の研究を行ったものの、なお成果としては現れていない。ドイツ法では、本研究が対象とする問題については、実体法上の依存関係というのみの説明で足りるとされることが多く、実体法レベルでの日本との仕組みの違いが影響を与えている可能性もあることから、次年度にはやや視野を広げる必要がありそうである。 日本に関する制度の調査としては、本研究と密接な関連を持つ、係争物に関する仮処分、とりわけ占有移転禁止の仮処分について一定の研究を行った。その成果は、山本和彦ほか編『新基本法コンメンタール民事保全法』(日本評論社、2014年)242頁-259頁に公表されている。わが国は、当事者恒定主義を採用するドイツとは異なり訴訟承継主義を採用していることから、ドイツのように口頭弁論終結前の承継人に対しても既判力を拡張するということは、原則として想定していないが、このような規制の中で、当事者恒定効を発生せしめるのが係争物に関する保全処分である。このようなものである以上は、係争物に関する仮処分には、既判力拡張の前倒しという効果も認められる余地があるように思われるが、この点についても、上記の書物の中では言及している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は、基礎的な作業に費やす予定であったが、外国法および日本法のいずれについても、当初想定していてた程度の調査はできており、概ね予定通りであるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、当初の研究計画の通りに勧めれば足りると思われる。ただし、研究実績の概要でも述べた通り、外国法の調査については、実体法にまで視野を広げる必要があると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
623円の次年度使用額が生じたが、これは、文献調査を前提とする本研究において最重要である書籍購入には少額すぎ、次年度助成金と合せて使用するのが効率的と考えられたためである。 理由において記載した通り、書籍購入に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)