2015 Fiscal Year Research-status Report
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25380102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 絵美子 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80250661)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サービス契約 / 解除権 / 損害軽減義務 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、各論的な規定と一般的な法理論との関係、異なる価値観の調整方法、法制度におけるカテゴリー化の意義を意識しつつ、サービス契約法における権利・義務の設定と説得的な理論的根拠の提示を試みることにある。 本研究について、具体的なトピックとして掲げた第二の観点(損害軽減義務の観点と関連させ、サービス契約の領域における損害賠償の考え方の特徴を検討する)と第三の観点(不効率性の回避という観点に関連させ、サービス契約領域でサービス受領者の任意解除権を広く採用することの可否について考察する)について、具体的な執筆・研究成果の公表を書籍として行い、試論について学会からの意見を仰ぐ機会を得た。 研究の成果として、第三の観点に関連し、委任、継続的消費者契約、有期固定金利のクレジット等を素材に、中途解除権の論拠について、関連する法規定の歴史的沿革的考察、ドイツ法の判例・学説の検討、近時のEUにおける指令やモデル準則の検討など広範囲にわたり行い、試論として、中途解除権の根拠を、①他人にゆだねた権利利益を本人に戻すという観点、②物や労働力の有効活用という観点、2つの考え方を軸に提示した。第二の観点に関連し、中途解除に伴う損害賠償あるいは損害賠償額の予定の規制に関し、個別性の強い取引か、定型的な多数消費者取引化といった分類の観点を示すなどした。この試論の方向性は、サービス契約の法規範に示唆を得つつも、むしろサービス契約とは異なるカテゴリー、着眼点で法規範の制度設計を行う方向性を示すものであるが、書籍の公刊により、すでに、書評などにおいて、助成を受けて出版した書籍が取り上げられ、一定の議論を喚起しているところである(民法学のあゆみ・法律時報88巻4号104頁以下)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年の段階で、本研究に関連する原稿を数多く収めた単著の書籍を発行することができ、また、書籍公刊からすぐの時期に、書評などを通じた、意見をいただき、議論を喚起できた。
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Strategy for Future Research Activity |
書籍発行を優先させたため、海外調査が平成28年度となったので、これを実行する。また、引き続き執筆を継続し、研究成果を公刊していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、物品購入や旅費について端数が生じるところ、超過を回避したためである。その額は760円と非常にわずかである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
760円であり、翌年請求額とあわせて、研究計画にそって使用予定である。
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Research Products
(6 results)