2016 Fiscal Year Research-status Report
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25380102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丸山 絵美子 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80250661)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サービス契約 / 損害軽減義務 / 任意解除権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①サービス契約締結時に発生する抽象的債権が、履行によって具体化するという考え方の射程を見極める、②労働力の転用利益控除と損害軽減義務の関係を明らかにする、③任意契約解除権の射程と正当化を考察する、④消費者サービス契約法とユニバーサルサービス契約法という形での特則化が可能か検討する、という具体的トピックの検討を通じ、サービス契約法の権利・義務設計に関する説得的な研究成果を示すことにある。 平成28年度は、マックスプランク外国法私法研究所において、資料収集をすすめるとともに、国内の研究会に参加し、必要な知見を得るとともに、意見交換を行った。すでに昨年までに、③についての検討を終え、本年度は、①②を中心に検討を行った。①については、この考え方の射程自体、サービス契約によって生じる債権に限定されるものではなく、継続的債務関係という概念の有用性なや担保法制を視野に入れた拡大的研究が必要であるという結論に至っている。②については、ドイツ法、アメリカ法を含めた比較法研究をすすめたところであり、研究成果は原稿を出版社に提出済みである。具体的素材として民法641条を取り上げ、類似の場面を扱う比較法における損害賠償・損害軽減に関する議論を踏まえた。研究の結果として、641条の損害賠償における履行利益・信頼利益賠償の選択を可能と考える、算定式の種類を示しその選択可能性を提案する、労働力を別の仕事に転用して得た利益の控除を認め、請負人に合理的に要求可能であった別の仕事による利益の控除も認めつつ、その要件の厳格さを示す、消費者契約類型の取り扱いについて試論を示す、という研究成果を得て、その公刊を予定するに至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究トピックについて、順次検討をすすめ、毎年、研究成果を得るに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終研究年度となる。とくに検討を最後にまわしてきた、消費者サービス契約法とユニバーサルサービス契約法という形での特則化が可能か検討するというトピックについて、研究をすすめ、研究成果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
研究に必要な書籍が、当該年度で入荷しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍の購入にあてる。
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Research Products
(1 results)