2015 Fiscal Year Research-status Report
より効果的な再生型倒産処理実務確立のための倒産手続開始前の信用供与取引の保護
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25380105
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 正 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10198145)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 倒産法 / 倒産処理 / 事業再生 / 私的整理 / 成長戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
科研費の助成を受けた他の研究が急展開し、この研究を優先することとしたため(研究は「特集・私的整理と民事再生の境界」事業再生と債権管理152号9-87頁にて結実した)、本研究を1年間延期する許可を頂いた。しかし、2015年度の研究では、本研究の焦点が明らかになる等、大きな進捗があった。 すなわち、アメリカ合衆国での現地調査によれば、Ordinary Course of Debtor’s Business の例外は、ほとんど機能しておらず、我が国に導入しても、余り意味はなさそうであると、判断された。 我が国の金融機関による事業再生実務の実証的研究によれば(「特集・私的整理と民事再生の境界」事業再生と債権管理152号15-34頁を参照)、我が国における「より効果的な再生型倒産処理実務確立のための倒産手続開始前の信用供与取引の保護」を実現するには、金融機関が主導する私的整理と関連して、(1) 私的整理の間に金融機関が行った新規の与信を保護すること、(2) 私的整理の前後を問わず、取引債権者が行った与信を保護すること、が必要である。 そして、(1)、(2)を実現するためには、(a) 支払不能概念の検討、(b) 私的整理における一時停止の法的性質の検討、(c) 民事再生法50条の抗弁権の制約の再検討の3点の検討が、有益である。 なお、(b) については、中西 正「私的整理における預金と相殺」事業再生と債権管理151号131-137頁で、(c) については、中西 正「民事再生における事業再構築のプロセスの検討」事業再生と債権管理152号74-84頁で、既に序的検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科研費の助成を受けた他の研究[研究種目;基盤研究B(基金):研究代表者;中央大学・法務研究科・教授・佐藤鉄男:課題番号;25285028]が急展開し、この研究を優先することとしたため(研究は「特集・私的整理と民事再生の境界」事業再生と債権管理152号9-87頁にて結実した)、本研究を1年間延期する許可を頂いた。 しかし、上述のように、2015年度の研究では、本研究の焦点が明らかになる等、大きな進捗があった。 本年度は、これまでの研究の総決算となる論文を、1本にまとめる形で、執筆する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでの研究の総決算となる論文を、1本にまとめる形で、執筆する。 (a) 支払不能概念の検討、(b) 私的整理における一時停止の法的性質の検討、(c) 民事再生法50条の抗弁権の制約の再検討をテーマとする論文で、いわゆる「林原事件」の東京地裁決定を下敷きにして、論文を執筆する。論文では、対抗要件否認の問題も、同時に取り上げる予定である。
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Causes of Carryover |
科研費の助成を受けた他の研究[研究種目;基盤研究B(基金):研究代表者;中央大学・法務研究科・教授・佐藤鉄男:課題番号;25285028]の研究が急展開し、この研究を優先することとしたため(研究は「特集・私的整理と民事再生の境界」事業再生と債権管理152号9-87頁にて結実した)、本研究を1年間延期する許可を頂いたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述した、まとめの論文を執筆するため、予定どおり、使用する。
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Research Products
(3 results)