2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
澁谷 彰久 山梨県立大学, 国際政策学部, 教授 (40550463)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 市民後見人 / 成年後見制度 / 家族信託 |
Research Abstract |
1.研究実績 平成25年度の研究実績は、(1)地域における高齢者財産管理の実態把握と(2)市民後見人の養成・支援モデルの策定を行った。 (1)地域における高齢者財産管理の実態把握 山梨県内の自治体等からの協力を得て、地域の高齢者を中心とした生活・健康のニーズについてと地域包括支援センターを中心に専門職員からの市民後見人の必要性についてのアンケート調査を行った(2014年2月)。また、アメリカにおける家族信託(MSNT)やカナダにおける後見と信託の地域における活用事例につき調査を行った(2013年11月)。地域金融機関における実務担当者や成年後見制度の担い手である弁護士・司法書士、リーガルサポートなどの地域NPO法人の専門職員への聞き取り調査を実施した(2014年3月)。 (2)市民後見人の養成・支援モデルの策定 上記(1)の調査に基づき、市民後見養成のためのプログラムや研修内容について検討した(2014年3月)。契約スキームを設計し、高齢者本人がどのような財産管理をする形態が適切かいくつかの支援モデル案を策定した。 2.研究成果 今回の調査でのアメリカの制度から見た、わが国への参考となる視点を述べる。(1)受託者ポリシーの必要性 受託者に求められるものは、専門的な知識、信用力だけではなく業務を遂行する上での経験と安定性が求められる。MSNTは障害者のそれぞれのニーズに合ったポリシーを提示していた。(2)利用者の利便性と負担軽減 最新情報、顧客のいろんな意見を紹介することにより、情報を共有化している。後見人は受託者と違った立場が求められると同時に、受託者間の相互関係性が重要となる。(3)受託者の利害関係人との連携の必要性 共同受託者が長期間にわたって本人にどのようなケアをしているかを第一に考えることを重要なポリシーとしていた。 (以上)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した項目についての調査については順調に行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究内容は、イギリス・ドイツ等における後見制度の調査を行う予定。 ①イギリス意思能力法(The Mental Capacity Act(2005))の運用状況と課題などの運用主体の役割の調査を実施する。②ドイツにおける「世話人」制度と市民後見人支援モデルの調査高齢者財産管理支援の先例国であるドイツの制度とその運用上の問題を調査、分析し、日本の同様の制度への示唆を得る。その上で、日本との比較、分析を行い参考とする。③日本モデルとの比較検討を行う。イギリス及びドイツでの調査を通じて、今後の地域における高齢者財産管理についていかなる示唆が得られるのかについて多角的に検討する。調査結果をもとに、自治体、支援関係機関、地域金融機関などの担当者を交えた議論を経て、より実効性の高い結論を導き、今後の地域における市民後見人の実践に活かせるよう工夫する。
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Research Products
(3 results)