2013 Fiscal Year Research-status Report
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25380125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
舩津 浩司 同志社大学, 法学部, 准教授 (80454479)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子会社少数株主保護 / グループ利益 / 企業結合 |
Research Abstract |
研究期間の初年度に当たる平成25年度においては、子会社への介入に関する親会社の責任に関する規定(以下、「親会社の責任法制」という)の整備という、「会社法制の見直しに関する要綱」に具現化しなかった問題について、1.法制審議会会社法制部会における議論など一連の改正論議の中で明らかとなった親会社の責任法制導入の必要性に関する現時点での評価(立法論的意義)を行うとともに、2.一連の改正論議を踏まえて明らかとなった、現段階での解釈論の内容(解釈論的意義)について検討した。 1.については、法制審議会会社法制部会における検討では、親会社の責任法制は、子会社少数株主の保護と当該子会社への投資インセンティブを確保するという両面が混在していた(法務省民事局参事官室「会社法制の見直しに関する中間試案の補足説明」37頁参照)ことから、かかる方針のあいまいさが、最終的な立法へと繋がらなかったと考えられる。他方、EUにおける立法動向を巡る議論においては、ヨーロッパにおいては、企業グループ法制を子会社少数株主保護を目的とした「保護法制」から、親会社にどこまでの介入であれば許されるかを示す「授権法制」への発想の転換が生じつつある。わが国における親会社の責任法制導入の是非を論ずるうえでは、最終的な目的を上記のいずれにおくのかを明らかにする必要があると考えられることから、その旨を問うべき論文を現在作成中である。 2.については、現行法の解釈論としてはなお独立当事者間取引基準が妥当することを前提として、主として大規模企業グループにおいて用いられるキャッシュマネジメントシステムを例に、そのあるべき法的規律を論じた論文について、近時の動向を踏まえて加筆修正の上、公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「親会社の責任法制」を巡る理論的検討については、主としてヨーロッパの立法の動向を受けたドイツの学説を検討しつつ、現在論文として公表準備中である。また、子会社少数株主保護を巡る具体的な解釈論については、キャッシュマネジメントシステムを例とした論文をすでに当年度中に公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に推移しており、当初の研究計画どおり進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料整理や資料収集補助等のための人件費を計上していたが、主として書籍代である物品費と研究会の出席のための旅費等が想定以上に必要であることから、資料収集・整理は自ら行った結果、人件費相当部分に若干の余裕が出たため。 今年度の物品費の実績に鑑みて、物品費(外国語書籍)に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)