2013 Fiscal Year Research-status Report
情報環境のスマート化の下での情報法の理論体系と価値調整に関する日米欧比較制度研究
Project/Area Number |
25380131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 いつ子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00262139)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公法学 / インターネット / プライバシー / 個人情報 / 表現の自由 / メディア |
Research Abstract |
本研究期間の初年度である本年度は、研究計画調書に基づき、本研究の三つの軸のうちの二つ目の軸(対抗利益間の調整をめぐるプラクティカルな個別課題の検討)に重点を据えて、基盤的なリサーチを行った。その主な研究成果として、以下の二つが挙げられる。 第一に、新たな情報環境の下でのメディアの自由のあり方をめぐって、報道・取材の自由に関するリーディングケースとして今日でも重要な意義を有する最高裁昭和44年11月26日大法廷決定を読み直し、とりわけ、次の三点について検討を深める必要性を指摘した。すなわち、一個人でもネット上で不特定多数への情報発信が容易となった近年の情報環境の下で、取材の自由と公正な裁判の実現という対抗利益間の調整枠組みに関する議論を深化させていくためには、1)従来型のマス・メディアが今日もなお果たすべき固有の社会的役割とは何か、2)その役割に応じた特別な法的保護ないしは「特権」を認めうるのか、また、3)もし認めるのであれば、かかる特権の根拠・主体・対象情報の範囲等をいかに規定するか、といった点が改めて問われるべきである(後掲の研究発表欄の「取材フィルムの提出命令と取材の自由」を参照)。 第二に、情報環境のスマート化やビッグデータ・サーベイランスに関するプライバシー・個人情報保護をめぐって、海外現地調査において、欧米の情報法・プライバシー関連分野の研究者や政策担当者・弁護士・企業関係者等に直接会い、特に国際間のデータ流通をめぐる規制動向について効率よく情報収集とディスカッションを行うことができた。このため、こうした現地調査結果を踏まえて、本研究の中間的成果を英語でとりまとめる作業に当初計画よりも早く着手することとし、来年度の英語論文発表を目指して、欧米の関連制度との比較において日本法の特徴を分析する作業に集中的に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前掲の「研究実績の概要」欄に記載したように、本年度は、予定していた基盤的なリサーチを行ったことに加えて、海外現地調査での情報収集とディスカッションの結果に基づいて、研究計画調書では本研究期間の二年目以降に計画していた英語での本研究成果のとりまとめ作業を、予定よりも早期かつ順調に進めることができたため、当初計画以上の進展があったと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、前掲の「研究実績の概要」及び「現在までの達成度」欄に記載したように、当初の予定よりも順調に進展しており、また、研究遂行上の支障等は生じていないことから、今後も、研究計画調書に記した目的と方法等の下で遂行していくこととしたい。
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