2014 Fiscal Year Research-status Report
現代韓国における戸主制の廃止と「性差」の法的構造の変容に関する実証的研究
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25380136
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
岡 克彦 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (90281774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 性同一性しょう害 / 法的性差 / トランスジェンダー / 戸主制 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、韓国での戸主制が廃止して以降、男女の性差をめぐる法制度がどのように変遷していったのかを解明する作業を行った。その具体的な事例として、性転換(トランスジェンダー)問題を取り上げた。これに関連する判例状況を韓国・法院図書館などで調査し、判例群の分析を実施した。また、政府機関(女性部、国家人権委員会など)の報告書を調査しつつ、トランスジェンダーの実態を解明しようとした。 こうした調査の結果、性同一性障がいの性別変更に関する特例法が国会で議員立法というかたちで2回にわたって立法作業が進められたが、法律成立までに至らなかった。まず、どうして法案が成立しなかったのか、その法的・政治的要因を探ることにした。その一方で、韓国では、当事者が性別変更の訴えを提起し、法院でその変更を認めるという流れが主流になった。いわゆる、「司法的解決」である。これは、日本や他の国で採られている、法律を通してその変更を認める「立法的解決」とは対照をなす。こうして、トランスジェンダーをめぐる日韓の法制上の差異が、今後、研究のひとつの焦点になることを発見した。さらに、このトランスジェンダーを通して、韓国における別の性に変更する前提としてそもそも男女の「性差」の法的基準が何かを数多くの判例のなかから明らかにすることができた。その成果が学術論文として公表すると共に、研究会や学会で報告をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の研究計画により、現地での調査が予定どおり進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、今後の研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
備品としてパソコンを購入予定であったが、購入できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、予定どおりパソコンを購入するつもりである。
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