2015 Fiscal Year Annual Research Report
大規模人災の損害論―福島第一原子力発電所事故とメキシコ湾原油流出事故を題材に
Project/Area Number |
25380138
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大坂 恵里 東洋大学, 法学部, 教授 (40364864)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 災害 / 福島原発事故 / 損害賠償 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、福島第一原子力発電所事故とメキシコ湾原油流出事故という二つの大規模人災を題材に、有毒物質への曝露による潜在的被害、自然資源の自家消費分の被害、環境損害など現行の法制度において評価することが難しい損害について研究を行い、どのように評価すべきか提言することにある。 平成27年度は最終年度であったが、二つの事故については新たな文献が数多く出版されつづけているため、文献調査も継続して行った。また、二つの事故以外にも、スリーマイル島原発事故、アメリカ同時多発テロ事件、ハリケーン・カトリーナ、ハリケーン・サンディ等のアメリカ国内で発生した災害のほか、ボパール化学工場爆発事故、四川大地震、ネパール地震等について行政担当者や専門家から話を聴く機会を得た。とくに、福島原発事故に関しては、1月に、災害と法の関係に関心を有するアメリカの研究者・大学院生とともに福島と東京で調査を行った。福島では、避難指示区域を含む被災地を視察し、行政担当者・専門家から聴き取りを行った。東京では、災害の予防・応急対策・復旧・復興、原子力損害賠償制度、原子力規制に関わる行政担当者・専門家から聴き取りを行った。 これらの研究成果は、アメリカ法社会学会(5月、アメリカ合衆国シアトル)、東アジア法社会会議(8月、早稲田大学)で発表し、UCヘイスティングス・カレッジオブロー(10月)、UCバークレー・スクールオブロー(10月)、UCサンタクルズ(11月)、テンプル大学ジャパン(2016年4月)における講演内容に反映させることができた。 3年間の研究期間中、評価することが難しい損害として、上に挙げたもの以外に、災害を契機とした被害者のディスプレイスメントから生じる被害があることに気づかされた。そして、本研究の目的を果たすには、学際的な共同研究が重要であることを改めて認識した。今後の研究につなげたい。
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Research Products
(7 results)