2015 Fiscal Year Annual Research Report
我が国における導入に向けた追及権の有効性の検討―欧州追及権指令の影響と効果
Project/Area Number |
25380140
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小川 明子 早稲田大学, 総合研究機構, 招聘研究員 (90530593)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 追及権 / 著作権 / 終了権 / EU指令 / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
追及権制度は、美術の著作者が原作品を販売した後、再度転売される場合には、販売が行われる度にその販売額の一部を受けることができる権利である。これまで、欧州各国及びアメリカにおける状況について検討を重ねてきた。 アメリカについては、著作権がすでに譲渡された後であっても一定期間後著作者にその権利は戻り、再度契約の可能性を与える終了権という権利が現在も存在している。そのため、2015年10月には、コロンビア大学よりJane Ginsburg教授を招き研究会を開催している。 欧州については、これまで検討したフランスあるいはイギリスといった各国の法制度に加え、欧州指令に批准した加盟国の中でも各国法に差異があることが判明し、その問題を扱った欧州司法裁判所判決が出され、2015年12月にはこの判決を紹介する論文を執筆している。 2016年3月に追及権に関わる国際シンポジウムを開催し、司会を務めた。シンポジウムには、フランスよりパリ第一大学Frederic Pollaud-Dulian教授、イギリスよりブレイクモルガン法律事務所Simon Stokes弁護士、著作権管理団体の世界的組織であるCISAC事務総長Gadi Oron氏およびCISACアジアパシフィック代表のBenjamin NG氏が参加し、研究代表者も、「日本における追及権―導入における合理性と動機づけー」をテーマとして講演を行った。その後のラウンドテーブルでは、これらの講演者の他、日本写真家協会および日本美術著作権協会のそれぞれの代表者と、写真家及び画家が参加して、美術の著作者の権利の現状という観点から議論を行った。
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