2013 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本の保守主義の政治史的分析―自民党結成から現在まで
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25380149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中北 浩爾 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30272412)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本政治史 / 保守主義 / 戦後 |
Research Abstract |
平成25年度の研究実績について最大のものは、本研究の全体を概観する単行本を執筆し、それを書き上げたことである。平成26年5月20日すぎにNHK出版から刊行される『自民党政治の変容』が、それである。1955年の結党以来の自民党の理念と組織の変遷を描出したものである。理念については、憲法改正をめぐる右派とリベラル派の対立、組織に関しては、集権―分権、国会議員―党員・支持団体という軸で捉えた。これまでの自民党研究を大きく前進させるものになったのではないかと考える。400を超える注がついているとはいえ、60年にわたる歴史を扱う一般書であるので、分析の深さという点では不十分にとどまっているが、本研究を完成させる大きな一歩となる試論として意味を持つものである。出版社の勧めに応じて刊行することを決めたが、結果として研究の方向性や課題を明確化する上で有意義であったと考える。 この本の執筆にあたって、研究書や研究論文を購入し、複写したほか、当時の新聞や雑誌の記事、政党が発行しているパンフレットなどの収集を行った。まだ、不十分なものにとどまっているが、かなりの程度進展したと考える。こうした資料収集に加え、本の執筆に力を注いだため、関係者その他へのインタビューなどについては、必ずしも十分に行う余力がなかった。また、外国の保守主義など比較政治的な観点からの分析までは、ほとんど手が回らなかった。これらは今後の課題として残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単行本の執筆の完了というのは、大きな成果であったといえる。これによって、今後の研究の見通しを得ることができたばかりか、最終的な研究成果の一部を先取り的に発表することになるからである。ただし、その分、当初の計画に盛り込んでいたインタビューや比較分析などについては不十分なものにとどまらざるを得なかった。それは、研究計画が十分練られていなかったことに起因している。そうした意味で、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、インタビューを積極的に行うとともに、外国との比較分析にも着手したいと考える。とりわけ、それを通じて、1980年代に最盛期をむかえる日本型多元主義を同時代の文脈から捉え直す作業を積極的に進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度末にインタビューの実施を予定していたが、本の執筆に大きな時間をとられたことに加え、先方の都合もあって、平成26年度に持ち越しになってしまった。そのために、次年度使用額が生じてしまう結果となった。 平成25年度末に予定し、平成26年に延期したインタビューを実施する。そのための謝金、テープ起こし代、ボイスレコーダー購入費などに支出する予定である。
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Research Products
(1 results)